[fpr 2579] 因子数決定におけるMAPの良さ

堀啓造

堀@香川大学経済学部です。

探索的因子分析の因子数決定法においてMAPがいいことがよく知ら
れているが,どういう意味でいいのかは語られていない.

MAPはマイナー因子を感知しないという大きな特徴がある.これが
他の指標と比べ大変いい.

1因子に2指標や1指標の因子は無視する.3指標でも負荷する項
目の共通性の平均が0.36(負荷量が0.60)程度の因子なら無視す
る.4指標なら共通性が0.25(負荷量が0.50)程度なら無視する.

2指標以下の因子を無視するのは極めてよい性質であろう.3指
標,4指標のときの共通性の大きさについては問題があるかもしれ
ない.しかし,これは項目を作成するときの努力目標としてとらえ
ることができる.

無視されては困る因子が含まれる場合はもっと敏感な指標を使って
たしかめればいいだろう.もっとも敏感なのは対角SMCの固有値0
以上の基準である.ただしノイズをたくさんひろってしまうので実
際に使用するには不向きである.

対角SMCの平行分析がいいのはそこまで敏感でないからである.

さて話題をちょっと変えて,AICをチェックしてみると,これは
元々感度がかなり高い.サンプルサイズによって感度が変わるかの
ように思われているが,先の共通性0.49程度ならサンプルサイズに
よる感度の変化はわずかである.サンプルサイズによって感度が大
きく変わるのは,共通性が0.36以下のときである.それほどいい尺
度でないときといってもいいのではないか.

AICを飽和モデルと比較した値がマイナスになるとき,BICの最適モ
デルと一致することが多い.服部さんのAIC2という値を使ってみ
るのも一つのてである.マイナスになったときのモデルを採択すれ
ばいいという基準を使う.ただし,2.0の差は違いとは認められな
いという基準もあるので注意.

BICはサンプルサイズの影響を大きく受ける.1000以上のときは極
めて敏感である.200以下なら鈍感.MLにとって意味があるとされ
る300以上500以下なら適度な感度といえる.ただし,MAPのような
いい性質はもっていない.

ulsとMLと異なる値となる指標を比較するとAICは比較的良いが,他
の指標は難しい.mapなどの共通に使用できる指標を使うべきであ
る.

Thurstone の24項目の知能テストのように3項目で因子を措定する
場合が多くあるが,探索的因子分析的には問題のある行動であろ
う.

豊田さん(『項目反応理論[入門編] ―テストと測定の科学―』
朝倉書店)の外向性のデータがmap では1因子になるのも共通性が
低いからである.対角smc-平行分析95%では4因子となる.解釈可
能な結果となる.もっとも因子間相関は極めて高いからもともと1
因子でもかまわないデータである.

http://www.ec.kagawa-u.ac.jp/~hori/yomimono/fnumber.ppt
も参照してください.今回の話はこの時のものをさらに発展させた
ものです.

----
堀 啓造(香川大学経済学部)
home page http://www.ec.kagawa-u.ac.jp/~hori/


スレッド表示 著者別表示 日付順表示 トップページ

ここは心理学研究の基礎メーリングリストに投稿された過去の記事を掲載しているページです。