[fpr 2701] 短縮尺度を作る

Kouhei Matsuda

 松田浩平です。

>う。相関が0.9以上になると角度が25度以下に小さくなりますから,何を測っ
>ているのかはかなり限定されてきますが,すでに存在する尺度と0.9以上の相
>関があるような尺度を新たに作っても仕方がないという面もありますから,

この点についてご了解とは思いますが一言だけ、
心理学に限らず測定という行為が何を意味するかという事に注目してみると、相関
が高い尺度を別途作成することについて、意味の有る事かどうかの判断ができるか
と思います。
もともと、測定という行為は現象や特性を相似した計量可能で直感的に観察可能な
現象に置換する行為(高等学校の物理等で学んでいるかとは思いますが)です。
測定コストの問題から考えると。ある計量可能な「性質」は詳細な面接や長期の行
動評価を行なうことで計測されてきたものとします。もし心理尺度がその「性質」
と高い相関を持つなら測定コストを軽減する意味が有ることになります。
例として、閉鎖された物理空間を1秒間に通過する電荷を直接測定することは非常
に大掛かりな装置と手間を必要としますが、一次縦続にある分路のコイルによって
生じる電磁力とスプリングとの釣り合う位置を目視することは比較的簡単できます
(機械式の電流計の原理)。もっとも、この場合でも電荷以外の要因が完全に排除で
きないため誤差を含みます。
同じような項目数の心理尺度(質問紙)同士で、相関が非常に高い尺度を作成ような
場合は、新たな尺度を作ることに意味があるかどうかとは思います。
しかし、心理尺度を評価するための心理尺度や平行検査を作っている場合を除けば、
某かの心理的な現象の置換を目的としたものが心理尺度と考えています。私は卒論
生に、尺度をいじるときは所要の特性について他の方法で評価されたものとの比較
を試みるように勧めています。
質問紙の尺度と尺度を比較するような場合は、個の話題でもある短縮版を作ろうと
するようなケースを除いて、あまり信頼性の高い結果は得られないと割り切ったほ
うが良いのじゃないかと最近は思っています。
--
/*  松田浩平                 (Kouhei Matsuda, Asao Kawasaki, JPN.)
    mailto:jetta (at) marie.kakio.gr.jp   http://www.kakio.gr.jp/~jetta/  */


スレッド表示 著者別表示 日付順表示 トップページ

ここは心理学研究の基礎メーリングリストに投稿された過去の記事を掲載しているページです。