[fpr 2803] 妥当性について

堀啓造

堀@香川大学経済学部です。

>  Borsboom, D., Mellenbergh, G. J., & Van Heerden, J.  (2004). 
>   The concept of validity.  Psychological Review, 111, 1061-1071.

Psychological Reviewの割には短い論文で助かりました。
これって、Bollen and Lennox(1991)から起こっているムーブメントを示しているようです。た
だこれは factor <- item という因果性を前提にしたと尺度のときです。Journal of 
Consumer Research などでときどき論文がでてきますが、Formative measurement とか scale
の場合に成り立つことです。

semnet で丁度質問がでてます。
Celso Augusto de Matos "Concerning Formative Measures" 6 May 2005
http://bama.ua.edu/cgi-bin/wa?A2=ind0505&L=semnet&T=0&F=&S=&P=9099

ここで引用されている
Cheryl Burke Jarvis, Scott B. MacKenzie, and Philip M. Podsakoff (2003). A Critical 
Review of Construct Indicators and Measurement Model Misspecification in Marketing 
and Consumer Research. JOURNAL OF CONSUMER RESEARCH,Vol. 30, September 2, 199-218.
http://www.journals.uchicago.edu/JCR/journal/issues/v30n2/300204/300204.web.pdf
がわかりやすい案内になっているようです。(今時間がないのでちゃんと読んでいる時間がな
いが図表レベルでもわかりやすい)。

> には,1940年代どころか,1920年代のKelleyの妥当性定義「テストは,それが
> 測ろうとしているものを測っていれば妥当なテストである。」に立ち返ろう
> と書かれています。

因果性だけで攻めることができるのは限られた領域でしょう。Borsboomらはformativeのみを尺
度として認めようとしているようです。古典的機械的な因果関係に立ち戻ってしまうようで
す。因果関係だけで尺度を作れるならそれはそれで強力なものでしょう。BorsboomらはPiaget
の例を認めていますが、性格心理学的にかなりはっきりあると思われる外向性でさえ尺度とし
て認めようとしてません。

たしかにいい加減な尺度がいっぱいあることはたしかでしょう。結局その尺度測っているもの
がなんなのかよく考察できていない、独りよがりな尺度もいろいろあるでしょう。しかし、
Jarvisらのreflective measureを認めないのはおかしい。心理学の仮説構成体を認めないこと
になってきませんか。

Borsboomらはformative だけを認めるという言い方はしていないですが、因果性のみを尺度の
基準にするということは結果的にはそういってます。

> > 理想的には,複数の外的基準との間に,その尺度で測
> > りたい構成概念の定義内容からして,ある特定の相関パタンがあることが予
> > 測され,その予測が実際のデータで確認される,ということになればいいの
> > でしょうが。

Borsboomらはこのレベルまで考えていないのではないでしょうか。知能テストを認めて外向性
検査は認めない。外向性はある程度観察すればはっきりと分かるけど、テストの作り方そのも
のが認められないといってしまっているようです。

> 彼らの主張は,「測ろうとしている属性における差異が,測定結果の差異を因果
> 的に引き起こすことを示すことが妥当性検証だ」というものです。「相関では
> なく因果」というところがポイントです。具体例としてはピアジェの課題が
> あげられおり,そこでは,発達段階から課題への回答へという因果の流れが
> 明確であり,別立てで妥当性検証を行う必要性もほとんどないことが述べられ
> ています。物理的な測定もそういうものであり,そのために,物理的測定では
> 妥当性などというものが問題にならないということです。

まさに彼らの主張はこの部分にあるのでは。

Borsboomらは「立証はできんがいが、反証はできる」というポッパーの命題は無視しているよ
うですね。

彼らの議論の様子は論理実証主義を思わせる。「語りえぬものについては、沈黙することにな
らざるを得ない」(ウィトゲンシュタイン)

なお、しばらくインターネットにアクセスできない環境にいるため,返事はできません。

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堀 啓造(香川大学経済学部)
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