[fpr 2898] 心理学科・統計学のテキスト

南風原朝和

fprの皆様

南風原です。

Keizo Hori さんからの引用:

> ご本人の本はどうですか。
> 
> 南風原朝和『心理統計学の基礎』有斐閣

私は,[fpr 2890]で挙げたチェック項目に照らして言えば,学部での
心理統計学教育について,以下のように考えて(進めて)います。

(1)どこまで広く,どこまで深い学習を目指すのか。

  → 卒業研究で実際に使用する可能性の高い「重回帰分析」「分
    散分析」「因子分析」について,それら相互の関係を含め,
    その基礎を統合的に理解することを目指す。

(2)何コマ使って授業するのか。

  → 2単位授業×3学期(=6単位)

上記のテキストは,この方針に合うように作成してみたものです。

このうち(1)については,「なかなかそこまでは」という方もおら
れるかもしれませんが,授業で重回帰分析や因子分析をきちんと教え
ずにいて,卒論で使うときは正しく使って正しく解釈するようにと学
生さんに要求するのは,アンフェアな感じがします。また,もしも
「うちの学生の水準では・・・」というようなことでこれらの内容を
カットすることがあるとしたら,それは学生さんに対して失礼なこと
ですよね。

(2)については,「4単位が精一杯」というところも多いかもしれ
ませんね。学科全体としてのバランスからすると難しいのかもしれま
せんが,やはり6単位程度は必要とする内容ではないかと考えていま
す。

ちなみに東大では,心理系の学科が,3学部にわたって全部で4学科
あります。従来は,それぞれの学部で別々に統計や研究法の授業を開
講していましたが,来年度以降は,これら基礎的な科目については,
心理系全体で一本化することが決まっています。また,私が非常勤で
関わってきたお茶の水女子大でも,従来は,2つの学部で別々に4単
位ずつの統計の授業が行われていたものが,数年前から,2学部合同
で6単位の授業となっており,無駄を省くと同時に,学習内容を広げ
深めることができるようになっています。

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南風原 朝和 haebara (at) p.u-tokyo.ac.jp


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