[fpr 3022] SPSSの偏イータ2乗

南風原朝和

堀さん,fprの皆様

南風原@東大教育心理です。

Keizo Hori さんからの引用:

> たしかに美しくないのですが、「偏相関比」にも困難を抱えています。
> 一般に「相関比」は「イータ2乗」です。

> ところが、「相関比」を「イータ」と解釈している例もよくあります。

> というわけで相関比という言葉を使うことによる混乱が生じます。どっからこ
ういう問題が生じたのでしょう。


http://psychclassics.yorku.ca/Fisher/Methods/chap8.htm
に,
STATISTICAL METHODS FOR RESEARCH WORKERS By Ronald A. Fisher (1925)
があり,
45. The "Correlation Ratio" η
のところに,

the square root of this ratio, η, is called the correlation ratio

とあります。

分散の分割に基づいて分散説明率を求めたものが η-square ですから,それに名
前を付けてしまおうという発想があって,混乱が生じてきたのではないかと推測
します。しかし,歴史的にも,また,R と R-square との関係と統一的に扱うう
えでも,ηのほうを相関比と呼ぶのが適切だと思います。

似たような問題として,クラメルの連関係数がありますね。池田央『統計的方法
I』(新曜社,125頁)にあるように,クラメル自身は2乗したほう(カイ2乗と
同じオーダーのもの)を指標としたようですが,これも,ファイ係数などとの一
貫性からは,2乗しないほうを連関係数と呼ぶのが良いと思います。

----
南風原朝和  haebara (at) p.u-tokyo.ac.jp


スレッド表示 著者別表示 日付順表示 トップページ

ここは心理学研究の基礎メーリングリストに投稿された過去の記事を掲載しているページです。