岡本@日本女子大学心理学科です。 [fpr 3366]に > 各2水準のA×Bのデザインで,言いたいことは,A1だけでもB1 > だけでもほとんど効果はないが,それが組み合わさったA1B1条件 > は効果があるということ。 分散分析のスタンダードな説明法に対する日ごろの不満を書いてみたく なりました。 分散分析とは、分散(平方和)の分析であるというのが古典的な説明であると 思います。しかし、データを収集する分析目的は、独立変数と従属変数の 回帰式(構造方程式)における係数の関係を調べるのが第1目的であり、 それらに関わる分散(標準偏差)は二義的であると思います。分散の方は 検定結果の確かさに関わる情報として用いられています。 回帰式の係数について調べるのであれば、そのようにモデル設定をし (分散分析の構造モデルはそのようになっていますが)、データに対して 適切なモデルを選択するという分析が行われるべきです。例えば、 上記の場合、 Yab = (a1,b1)*x11 + (a1,b2)*x12 + (a2,b1)*x21 + (a2,b2)*x22 + e とおいたとき、最適なモデルが (a1,b1) <> (a1,b2) = (a2,b1) = (a2,b2) であることが示せるかどうかという問題となります。 以上のようなことを書いても、私の担当している授業ではt検定の 考え方すらなかなか理解してくれないので、私の授業に反映させるとかいうのは ナンセンスなのですが。最近、私の授業は必修から選択に変更されました。 もっとも、ゼミでベイズ的分析法というのを説明することがあったのですが、 このときはt検定よりわかりやすいという学生さんの反応でした。心理学会の 統計分析のデファクトスタンダードが、ネイマン=ピアソン理論からベイズ的分析に 変われば、授業はやりやすくなるのかなと、ふと思いました。学生としては 5%という天の声より、事後分布の比較の方がグラフィカルで直感的に 了解しやすいということだったようです。 岡本安晴
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