片所@目白大学です。 > 平均±SD を計算して,それが 1〜5の範囲を超えるかどうかをみればよい あるデータについて、天井効果を示すかどうかを「平均値±SDを計算する」とい うことだけで確認することはナンセンスということですね。データはまず図示せ よ、といういい教訓(コンピュータが優れているといっても、図を見て判断する というのはまだ人間の方が得意)。 もし自分がこの問題を課せられたら、と想像してみました(テスト用紙に記入し て提出してみました)。 --- ここから --- 今回のデータセットは明らかに両極的(2極的)な分布になるのが見て取れます から、これは測定方法(あるいは測定器具)に不備があったか、あるいは偏りの ある観測値が得られてしまったということが考えられます。そもそも天井効果や 床効果があるかどうかよりも、なぜこのような値が得られたのかを考えることの 方が重要です。したがって、このようなデータセットに対して「どれが天井効 果、あるいは床効果であるか否か」ということ自体について議論することの重要 性は低いと考えられます。 --- ここまで --- (2010/06/04 19:42), 南風原朝和 wrote: > fprの皆様 > > 南風原@東大教育心理です。 > > 下の架空のデータは,x1〜x4 という4つの変数がいずれも > 1〜5 という範囲の値をとる評定尺度値で,N=10 です。 > > --------------- > x1 x2 x3 x4 > --------------- > 1 2 3 4 > 1 2 3 4 > 1 2 3 4 > 1 2 3 4 > 1 2 3 4 > > 5 5 5 5 > 5 5 5 5 > 5 5 5 5 > 5 5 5 5 > 5 5 5 5 > --------------- > > x1 は尺度の両極端に分かれた分布,x4 は尺度の右端のほうに集中 > した分布,そして,x2,x3 はその間ぐらいの分布になっています。 > > これら4つの変数のうち,天井効果を示すものはあるでしょうか。 > あるとしたらどれでしょうか。また,床効果を示すものはあるでし > ょうか。 > > ・・という問題を考えてみました。 > > ある学生が,こういうときは,平均±SD を計算して,それが 1〜5 > の範囲を超えるかどうかをみればよい,というので,エクセルで計 > 算してみました。 > > すると,平均+SD(ただし,SDは不偏分散の平方根)の値は,順に > 5.108 5.081 5.054 5.027 > となって,尺度の両極端に分かれた x1 を含め,全部が天井効果を > 示すものとなりました。 > > また,ためしに,平均−SD を同様に求めてみると,x1 については > 0.892 となり,x1 は天井効果と同時に床効果も示す,という結果に > なりました。 > > 学生は,なんか変,と言いながら帰っていきました。 > > ---- > 南風原朝和 haebara (at) p.u-tokyo.ac.jp > > -- * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * 目白大学 心理学研究科 片所 強(Tsuyoshi Katasho) Tel. 042-450-1592, FAX 042-450-1592 E-mail katasho244 (at) nifty.com URL http://homepage2.nifty.com/nandemoarchive/ * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
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