[fpr 3388] 天井効果と床効果

Katasho Tsuyoshi

片所@目白大学です。

> 平均±SD を計算して,それが 1〜5の範囲を超えるかどうかをみればよい

あるデータについて、天井効果を示すかどうかを「平均値±SDを計算する」とい
うことだけで確認することはナンセンスということですね。データはまず図示せ
よ、といういい教訓(コンピュータが優れているといっても、図を見て判断する
というのはまだ人間の方が得意)。


もし自分がこの問題を課せられたら、と想像してみました(テスト用紙に記入し
て提出してみました)。

--- ここから ---
今回のデータセットは明らかに両極的(2極的)な分布になるのが見て取れます
から、これは測定方法(あるいは測定器具)に不備があったか、あるいは偏りの
ある観測値が得られてしまったということが考えられます。そもそも天井効果や
床効果があるかどうかよりも、なぜこのような値が得られたのかを考えることの
方が重要です。したがって、このようなデータセットに対して「どれが天井効
果、あるいは床効果であるか否か」ということ自体について議論することの重要
性は低いと考えられます。
--- ここまで ---

(2010/06/04 19:42), 南風原朝和 wrote:
> fprの皆様
> 
> 南風原@東大教育心理です。
> 
> 下の架空のデータは,x1〜x4 という4つの変数がいずれも
> 1〜5 という範囲の値をとる評定尺度値で,N=10 です。
> 
> ---------------
> x1  x2  x3  x4	
> ---------------
>   1   2   3   4	
>   1   2   3   4	
>   1   2   3   4	
>   1   2   3   4	
>   1   2   3   4	
> 
>   5   5   5   5	
>   5   5   5   5	
>   5   5   5   5	
>   5   5   5   5	
>   5   5   5   5	
> ---------------	
> 
> x1 は尺度の両極端に分かれた分布,x4 は尺度の右端のほうに集中
> した分布,そして,x2,x3 はその間ぐらいの分布になっています。
> 
> これら4つの変数のうち,天井効果を示すものはあるでしょうか。
> あるとしたらどれでしょうか。また,床効果を示すものはあるでし
> ょうか。
> 
> ・・という問題を考えてみました。
> 
> ある学生が,こういうときは,平均±SD を計算して,それが 1〜5
> の範囲を超えるかどうかをみればよい,というので,エクセルで計
> 算してみました。
> 
> すると,平均+SD(ただし,SDは不偏分散の平方根)の値は,順に
> 5.108 5.081 5.054 5.027
> となって,尺度の両極端に分かれた x1 を含め,全部が天井効果を
> 示すものとなりました。
> 
> また,ためしに,平均−SD を同様に求めてみると,x1 については
> 0.892 となり,x1 は天井効果と同時に床効果も示す,という結果に
> なりました。
> 
> 学生は,なんか変,と言いながら帰っていきました。
> 
> ----
> 南風原朝和  haebara (at) p.u-tokyo.ac.jp
> 
> 

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目白大学 心理学研究科
片所 強(Tsuyoshi Katasho)
Tel. 042-450-1592, FAX 042-450-1592
E-mail   katasho244 (at) nifty.com
URL   http://homepage2.nifty.com/nandemoarchive/
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