大西弘高@東大医学教育センターと申します. 南風原先生,非常に興味深い話題の提供ありがとうございます. 例えば,x5というような別の変数を考えてみました. -------------------------- x5: 5, 5, 5, 5, 5, 5, 5, 5, 5, 4 -------------------------- という5が9個,4が1個からなるような結果が得られたとします. このような結果は,質問紙で回答者の性向が一方に偏ったとき, あるいは評価でほとんどの学生に正答してほしい項目を作った ときなどに比較的よくみられます. ちなみに,平均は4.9,標本標準偏差は0.32なので,同様に天井 効果の一つの基準を満たしています. 心理測定の観点では,このような回答者・学習者の分離能力の 低い項目は「悪い項目」とみる傾向がかなり強いように感じて います. しかし,教育測定において同様に天井効果の問題を扱っていくと 「評価でほとんどの学生に正答してほしい項目」を削除すべしと いう観点で評価項目を選別せざるを得なくなります. 橋本重治氏の「到達度評価の研究」という書籍において,この ような観点自体に警鐘が鳴らされていたことを思い出しました. なので,回答者,学習者の分離を目的にした測定なのかどうか という点が示されていないと,天井効果,床効果について吟味 する意義自体が不明瞭なのだと思っています. 大西弘高 東京大学医学教育国際協力研究センター 〒113-0033 東京都文京区本郷7-3-1 医学部総合中央館2F tel: +81-3-5841-3534 email: onishi-hirotaka (at) umin.ac.jp
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