[fpr 3427] 分布の歪みによる偏差値の変化

豊田秀樹

豊田@早稲田です

守さん

いつもDOHC読んでいます。既に読んでいたものも、参考になるし
DOHCを追いかけて読むことも、しばしばです。ありがとうございます。

一次変換による偏差値が、分位から知られる個人の位置のイメージから
ずれることがあるのは、比較的よく知られています。

負に歪んでいるとのことですが、負に歪んでいることが、当該学問
分野の知見の観点から意味をもっているのか、あるいは単
なる外れ値として少数のデータを取り除くべきなのかは、
個票にもどって確認する必要があるかもしれません。

成績データによくあるのは、答案を白紙で提出している生徒が
いる場合です。少人数でも 0点が飛び離れていると、その
他のデータ(の偏差値)に比較的大きな影響を及ぼしてしまいま
す。これは少数のデータによって偏差値全体が解釈しにく
くなっている状態なので  偏差値の計算をする際に0点を
取り除くことも考えられます。
(守さん例では考えにくいですが、問題を覚えるためだけに受
験している場合など、最初から解く気のない受験者もいる
場合もあるかもしれません。)

逆に意味のある歪みの例ですが、たとえば小生が毎年計算
しているブランド指標(BtoB)は偏差値でも 100を超える
ことがよくあります(本当です)。この極端な正の歪みはブランドというもの
の性質をよく表現しているのでデータの削除は選択肢には
いりません。

当然、分位の観点からの平均的なブランドは40代(後半)になりますが、
偏差値とは相対評価なのですから、それは実態を表してい
ると考えられます。

同様の調査を中国で行っても、そこまで大きな歪みは観察
されず、歪みの程度はブランドの成熟の程度(上位の逆転の
しにくさ)の一つの表れであり、歪みがブランドというも
のの重要な性質を現しています。
http://consult.nikkeibp.co.jp/consult/br/bj2010/

守さんの例は、
最初は(負の歪みが大きい時は)分位のイメージより高めに算出され
(極端な少数の負け組がみんなから負けを一手に背負っていた状態から)

あとから(歪みが小さくなって)分位のイメージに近づいたと
いうことですね。


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 TOYODA Hideki Ph.D.,  Professor,                    Department of Psychology
 TEL +81-3-5286-3567  School of Humanities and Social  Sciences,
Waseda University
 toyoda _atmark_ waseda.jp   1-24-1 Toyama Shinjyuku-ku, Tokyo 162-8644 Japan
 http://www.waseda.jp/sem-toyoda-lab/
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