[fpr 3431] 分布の歪みによる偏差値の変化

大西弘高

大西弘高@東大医学教育センターと申します.

守先生,皆さま

> 負に歪んでいる原因の一つは、問題が易しすぎるために「天井効果」のような現象が起きていることです。
> これには意味があると思います。

> 共同研究者の中学校の先生によると、
> 1年生の初めの中間テストは「生徒たちにいい成績を取らせて自信をつけさせるため」に易しい問題にするのだそうです。
> その結果、中位の生徒もみなかなりの高得点を取ることになり、一部の下位の生徒だけの成績が悪くなります。
> その後のテストではこうした配慮がだんだんなくなってきて、中位の生徒がそれなりの位置に落ち着くことになるわけです。

心理測定の専門家は,出来る限り学生の成績に差が付くような試験を
作った方が,信頼性も高まるし,試験によって得られる情報量が多いと
考えられるようですね.教育専門家の一部はその考えに同調し,残りは
点数の絶対値とか,それによる動機づけとか,絶対評価の意味づけとか
考慮して,同調できないと感じるように思います.

なので,単に成績だけを眺めて現象を報告してもあまり意味が無く,その
裏に隠された意味も合わせて読み取れば,色んな意味が見えてくるの
かなと感じました.

ちなみに,全国の医学部80大学で4年生に実施している診察技法の
実技試験は,トライアル時期でもそれなりに高い平均点,中央値でした.
本格実施になってから,さらに上がり,現状では平均値86.4,中央値
87.5となっています.一部の大学では,60点合否ラインを守っているよう
ですが,全国的にみてそれだと0.2%しか不合格にならないようです.
70点に合否ラインを上げても1.8%です(2009年度の共用試験に関する
冊子より).一部には,「医者になるための試験なのに,車の免許の試験
より点数が悪くてどうする」という意見もあるようですが・・・

大西弘高
東京大学医学教育国際協力研究センター
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