[fpr 3497] RE[2] 3肢選択・実験データの分析方法

Takashi Tsuzuki

立教大学心理学科の都築です。
数年前から,下記のタイプの実験を,大学院生と共に大規模に行っているの
ですが,分析方法に確信がなく,かなり困っていました。

海外の先行研究論文では,部分的に分散分析をしたり,カイ2乗検定にとど
めたりする例が多いです。

第一人者の南風原先生からさっそくアドバイスをいただき,本当に感謝して
おります。
さっそく,先生のテキスト:p.229-231の方法で,ANOVAを再計算してみます。

取りいそぎ,心より御礼申し上げます。

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立教大学現代心理学部心理学科 都築誉史
〒352-8558 新座市北野 1-2-26
Email: tsuzuki (at) rikkyo.ac.jp
Tel. 048-471-6997   Fax. 048-471-7164
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-----Original Message-----
From: "南風原朝和" [mailto:haebara (at) p.u-tokyo.ac.jp] 
Sent: Wednesday, July 20, 2011 5:51 PM
To: fpr ML
Subject: [fpr 3496] Re: 3肢選択・実験データの分析方法

都築様,fprの皆様

> しかし,3肢選択は,互いに独立ではなく,3種類の反応率の合計は100%で,トレードオフ
> の関係ですから,分散分析の前提条件である,「独立性の仮定」に違反していると思います。

いわゆる「イプサティブデータ」ですね。イプサティブデータの分散分析に
ついては,以下の論文で,ほぼ問題がないということが示されています。

Greer, T., & Dunlap, W. P. (1997). Analysis of variance with ipsative 
  measures. Psychological Methods, 2, 200-207.

『心理統計学ワークブック』(有斐閣, 2009年)では,トピック9-2でこの
問題を取り上げていますが,そこでは,イプサティブデータは,通常のデータ
に対し各被験者ごとの平均をそろえる変換をしたものと捉えることができ,
その変換によって被験者内要因の水準間の比較は影響されない,という説明
をしています。

以上,ご参考までに。


Takashi Tsuzuki さんからの引用:

> fprの皆様
> 
> 3肢選択・実験データの分析方法に関する質問です。よろしくお願いいたします。
> 
> 4個の刺激(質問)項目があり,それぞれ3肢選択(A1,A2,A3)とします(被験者
> 内)。
> 3種類の実験条件があり,C1,C2,C3とし,それぞれ5名の実験参加者を割り当てます
> (被験者間要因)。
> つまり,実験計画としては,被験者間1要因(3水準)×被験者内1要因(3水準),
> となります。
> 
> このデータを分析するには,ふつう,被験者間3水準×被験者内3水準の2要因分散分
> 析
> を行えば良いように思われます(従属変数は,反応率)。
> 
> しかし,3肢選択は,互いに独立ではなく,3種類の反応率の合計は100%で,トレー
> ドオフ
> の関係ですから,分散分析の前提条件である,「独立性の仮定」に違反していると思
> います。
> 
> そこで,ノンパラメトリックのカイ2乗検定を行うとします。
> 4個の質問項目ごとに,5名の実験参加者の選択度数から,3選択肢を比較するカイ2乗
> 検定
> を行い,有意であれば,ライアン法で対比較を行うことは,問題ないはずです。
> 
> お尋ねしたい要点は,4個の質問項目に対する3選択肢の度数を,5名の実験参加者で
> 合計
> して,全体として3肢に対する選択度数(4項目分,5名分)を比較するカイ2乗検定を
> 行っても問題はないかという点です。
> 
> ANOVAにおける被験者間・被験者内が混在した形に見えますが,上記の全体的なカイ2
> 乗検定
> を行っても問題ないでしょうか(df=2)?
>  次に,有意であれば,ライアン法による対比較をすれば良いはずです。
> 
> 一方,被験者間要因であるC1,C2,C3条件相互の比較については,1要因分散分析を3回
> 繰り返せば良いと思います。
> 
> 上記の分析が妥当であるか,教えてください。
> よろしくお願いいたします。
> 
> --------------------
> 立教大学 都築誉史
> 
> 
> 

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南風原朝和  haebara (at) p.u-tokyo.ac.jp


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