[fpr 3551] 効果量としての「偏決定係数」

南風原朝和

fpr の皆様

補足です。

> (「偏相関比」という言葉は,岩原信九郎『新訂版 教育と心理の
> ための推計学』の401頁にもあります。)

上記の本は新訂版が1965年発行ですが,新しいところでは,
豊田秀樹(編著)『検定力分析入門―Rで学ぶ最新データ解析』(東京図書)
の二要因以上の分散分析のところ(第8章,第9章)で「偏相関比」が
使われています。守さんの新しい論文でも言及されている効果量fを,
より分かりやすい偏相関比を通して算出する方法が示されています。

先に書いたように,分散分析と重回帰分析が基本的に同じ分析であること
をふまえると,上述の分散分析における「偏相関比の二乗から効果量fへ」
という方法は,第7章の重回帰分析でも「偏相関の二乗から効果量f2へ」
という形で使えることになり,これらを合わせて「偏決定係数から効果量へ」
と,まとめることができるかと思います。



南風原朝和 からの引用:

> fprの皆様
> 
> ひとつ前の記事で,石井さんが
> 「ΔR^2=ある説明変数を抜いたときの決定係数の差分」
> と書いておられたので思い出したのですが,だいぶ前(2006年)に
> 堀さんと,partial η2 についてやりとりをしたことがありました。
> http://mat.isc.chubu.ac.jp/fpr/fpr2006/0096.html
> 
> そこでは,「偏イータ」は日本語として美しくないので,「偏相関比」
> が良いのでは,と書きましたが,partila η2 だと「偏相関比の2乗」
> と言わなくてはならず,長くなるのが欠点です。
> (「偏相関比」という言葉は,岩原信九郎『新訂版 教育と心理の
> ための推計学』の401頁にもあります。)
> 
> partial η2 という指標は,
> 「ある変数をモデルに追加することによって,追加前の残差分散が何%減少したか」
> を表すものであり,また
> 「追加前の変数の影響を除いたときの,追加変数と従属変数との偏相関の2乗」
> だと理解しています。
> 
> これは分散分析の文脈だとpartila η2 と呼ばれていますが,上記のことは
> 重回帰分析でもまったく同様なので,それに合わせると,重回帰分析では
> partial R2 となります。そして,partial η2を「偏イータ2乗」と呼ぶなら
> partial R2 は「偏アール2乗」と呼ぶことになりますが,統計的には同じ2つ
> のものに(日本語として美しくない)名称をそれぞれに付けるよりは,
> 「偏決定係数」で統一するのが良いのではないかと思ったところです。
> 相関の2乗が決定係数で,偏相関の2乗が偏決定係数,ということで自然かと思います。
> 
> 実際,検索してみると,「偏決定係数」という日本語も
> “coefficient of partial determination”という英語も,すでに使われています。
> (「偏アール2乗」は,まだないようです…。今後もないほうがいいです。
>  “partial R2”は使われています。短くて便利なので,これからも使われるでしょう。)
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> 南風原朝和  haebara (at) p.u-tokyo.ac.jp
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南風原朝和  haebara (at) p.u-tokyo.ac.jp


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