[fpr 3874] パブリックコメント(公認心理師標準シラバス)

豊田秀樹

早稲田の豊田@心理です

いつもお世話になりありがとうございます。
2018年1月17日に「公認心理師大学カリキュラム 標準シラバス(案)」
(以下「標準シラバス」と略記)を拝受いたしました。
「会員のみなさまのパブリックコメントを求めます。」
とのことでしたので、作成し1部をfprに流させていただきます。

ーーーーーーーーーーーここから最後まで
公益社団法人日本心理学会・公認心理師資格関係各位

早稲田大学文学学術院・心理学コース・心理統計学担当
豊田秀樹

2018年1月現在、公認心理師試験の受験資格を得るための科目は
主として科目名を基準として選定され始めています。
しかし、いずれ近い将来「標準シラバス」に基づいてシラバスチェックが
行われ、受験資格を得るための科目が選定されるようになるのでは
ないでしょうか。筆者はシラバスチェックに反対します。
シラバスチェックを通過した科目だけが
受験資格を得るための科目に認定される日が来ないことを願っています。
シラバスチェックに使われる「標準シラバス」は、すぐに時代遅れになるからです。
どんなに熟慮して作成した「標準シラバス」でも陳腐化するからです。

いくらでも例を挙げられますが看護師受験資格を得るための必修技能
で例をあげましょう。看護教育では「患者が寝たまま浴衣を着替えさせられる」
「聴診器で血圧が測れる」という必修単元があり、
それ等に合格しないと卒業できません。この2つは想像以上に難度が高い技能で、
それができないことによって留年する看護学生もいます。
しかし今どき「着脱の難しい浴衣を着せている病院などない」
「現場では聴診器で血圧は測らない」と批判が多く、
時代遅れのシラバスによる負担を看護学生に追わせています。
手間がかかるのでシラバスチェックは頻繁には変更・実施できません。
これがシラバスチェックのデメリットの本質です。

しかし医師・看護師業務は命に直結するので、カリキュラムのシラバスチェックは
必要でしょう。それによって時代遅れの内容が残るデメリットはあっても、
最低レベルを維持するメリットのほうが上回っているからです。

しかし心理学は違います。サイエンス・リベラルアーツの側面が強い学問です。
公認心理師は、臨床心理士、心理カウンセラーが行ってきた業務が
主たる範囲です。心理学を学んだ卒業生全員が目指す資格ではありません。
国家資格ではありますが、医師や看護師資格と異なり、それだけで
正規労働者になれる社会的需要はありません。
受験資格を得るための科目要件を満たすためのシラバスチェックによって、
時代や学問の変化に追いつかない事態は絶対に避けるべきです。

筆者は大学で25年ほど心理統計学の講義を行ってきましたが、その間に
新しい統計分析が次々に登場し、自身のシラバスはどんどん変化しました。
これからも変化します。筆者が信じた変化のなかにはメジャーになったものも
ならなかったものもあります。しかし考え続ける自由こそが重要なのです。
臨床心理どころか、卒業後に必ずしも心理学業界にとどまらない学生たちを前に
「20年たっても目減りしない古くならない心理統計教育とは何だろう」
と考え続けて講義内容を変更し続けてきました。
学生のために講義内容を考え、苦しむ自由を奪うシラバスチェックという
統一化に筆者は強く反対します。

大学の募集要項は、入学者と学部の間の契約書のようなものです。
ここの取得資格に「公認心理師」を一度掲げてしまうと、学部には
学生に対して責任が生じます。
今は講義名だけで許可されているのですが、途中から「標準シラバス」に基づいて
シラバスチェックが義務化されことを危惧しています。
その責任ために、不本意ながらシラバスチェックを断り辛くなるからです。
それは例えるならば、だまし討ちのようなものです。
そのような学問的良心と、学生への配慮の板挟み状態が起きないように
最初から方針を統一していただきたくお願い申しあげます。

カリキュラムチェックはせずに「標準シラバス」を掲げることに賛成します。
というより資格試験である以上、出題範囲を明示することは必須です。
またカリキュラムチェックに使わない「標準シラバス」は「身軽」なので、
時代の変化に合わせて数年おきに変更することも容易です。
受験範囲である「標準シラバス」にどれだけ合わせて講義を行うかは、
教員の考え方に任せるべきです。
長文をお読みいただき、ありがとうございます。



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 TOYODA Hideki Ph.D.,  Professor,                    Department of Psychology
 TEL +81-3-5286-3567  School of Humanities and Social  Sciences,
Waseda University
 toyoda _atmark_ waseda.jp   1-24-1 Toyama Shinjyuku-ku, Tokyo 162-8644 Japan
 http://www.waseda.jp/sem-toyoda-lab/
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