岡山大学文化科学研究科の中田隆行ともうします。長谷川先生からこの mail list を紹介され、興味深く投稿内容を読ませていただいています。専門は quantitative psychology で現在 differential または difference equations を使ったdynamic equations model analysis (dynamic modeling) の心理データへの 応用と attachment、developmental risk などの meta-analysis の研究を行っています。ま た同時に今年8月に卒業した合衆国の TCU (Texas Christian University) の研究者 達とのうそ、児童の社会適応と情緒発達などの異文化間の比較研究も同時に進めてい ます。 Dynamic modeling は1960年代には Simon, McPhee, Coleman, Rapoport などの 社会科学者・行動科学者たちによって相互作用のある現象のモデル化が提案されてた のですが、当時のコンピューターでは計算に膨大な時間を要したために近年まで発展 が見られませんでした。1980年代になりWashington University の Sprague ら の政治学者により、相互作用のある大きなデータを使え population dynamics の応 用の可能である投票行動という問題に dynamic modeling の応用を始めました。現 在は Sprague の生徒であった Courtney Brown が第一人者として chaos, catastrop he model を含む dynamic modeling をすすめています。Courtney Brown は Univers ity of Michigan で ICPSR (Inter-University Consortium for Political and Soci al Research) の開催する解析法の夏期講座で dynamic modeling の講義を開いてお り、私は1993 年 と 1994 年の2夏、彼の講義を受け dynamic modeling を学びまし た。今年になって Sage Publication から Chaos and Catastrophe Theories という 社会科学・行動科学者への dynamic modeling の応用についての彼の本も公表されて います。私の博士論文ではメタドン治療中の不法薬剤使用状況と仲間の社会的逸脱度 の変化の dynamic model を使った解析を行いました。これからも family dynamic などの心理、特に発達のテーマへの dynamic model の応用を行いたいと考えていま す。心理学では相互作用がある変化する大きなデータを得ることは難しいので長期的 な研究計画になると考えています。 よろしくお願いします。 中田隆行 tnakata (at) harenet.or.jp
ここは心理学研究の基礎メーリングリストに投稿された過去の記事を掲載しているページです。