[fpr 178] graduation theses(1)

長谷川芳典

長谷川@岡山大学文学部心理学教室です。
きのう、一般教育“心の科学”の採点が終わりました。いま、毎日
1本のペースで卒論を読んでいるところです。
実験計画の基本にかかわる問題点もありますが、因子分析、MAN
OVAなどいろいろな統計解析を用いた論文が多く、私自身の勉強
不足を痛感させられます。
学生には、人間はカミ(=紙)ではないとよく言うのですが、相変
わらず質問紙だけを用いた研究が多い。
いくつか気づいた点を、少しずつ御紹介していきたいと思います。
 
(1)たった1つの質問について、あてはまるを2点、どちらとも言
えないを1点、あてはまらないを0点(あるいは、ひじょうにあて
はまる4点、あてはまる3点、あてはまらない2点、まったくあて
はまらない1点)というように点数化して、そのままt検定とか分
散分析にかけているものが複数ありました。たくさんの質問の合計
点ならともかく、こういう順序尺度的で離散的なものを間隔尺度的
に扱うことには抵抗を感じます。もっとも、カイ2乗検定を使って
も、t検定を使っても、それほど結果は変わらないのでしょうが。
 
(2)因子得点を尺度得点と同一視(もしくは混同)しているものが
複数ありました。
 
(3)“因子パターンの値が高いものだけ集めて、粗点を合計”する
やりかた。
 
上記の(2)と(3)については、さいきんfprで議論になっています
ね。
(3)については、最近の議論を読むと、まあそれでいいのかなあと
いう気になってきました。試問のときには、ふれないことにして
おきます。
 
長谷川芳典 岡山大学文学部心理学教室

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