長谷川@岡山大学文学部心理学教室です。 きのう、一般教育“心の科学”の採点が終わりました。いま、毎日 1本のペースで卒論を読んでいるところです。 実験計画の基本にかかわる問題点もありますが、因子分析、MAN OVAなどいろいろな統計解析を用いた論文が多く、私自身の勉強 不足を痛感させられます。 学生には、人間はカミ(=紙)ではないとよく言うのですが、相変 わらず質問紙だけを用いた研究が多い。 いくつか気づいた点を、少しずつ御紹介していきたいと思います。 (1)たった1つの質問について、あてはまるを2点、どちらとも言 えないを1点、あてはまらないを0点(あるいは、ひじょうにあて はまる4点、あてはまる3点、あてはまらない2点、まったくあて はまらない1点)というように点数化して、そのままt検定とか分 散分析にかけているものが複数ありました。たくさんの質問の合計 点ならともかく、こういう順序尺度的で離散的なものを間隔尺度的 に扱うことには抵抗を感じます。もっとも、カイ2乗検定を使って も、t検定を使っても、それほど結果は変わらないのでしょうが。 (2)因子得点を尺度得点と同一視(もしくは混同)しているものが 複数ありました。 (3)“因子パターンの値が高いものだけ集めて、粗点を合計”する やりかた。 上記の(2)と(3)については、さいきんfprで議論になっています ね。 (3)については、最近の議論を読むと、まあそれでいいのかなあと いう気になってきました。試問のときには、ふれないことにして おきます。 長谷川芳典 岡山大学文学部心理学教室
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