[fpr 182] nextworkshop

堀啓造

服部 さんコメントありがとうございます。
>宇都宮大学の服部です.

> そうですね.分散が最大化されている合成変数が主成分だとすれば,回転後の
合成
>得点は主成分とはいわないと思います.もし回転すれば,測定変数から解釈のし
やす
>い合成得点をつくってみた,ということになるのでしょうか.

ふっふ。因子分析とはいえないということですね。主成分分析の回転解とか、おさ
まりの悪いかたちで言うことになるのでしょうか。

> すみません,”Harmanの特別の処置”というのがわかりません.

因子分析の結果、ある変数の共通性が1を超える場合を Heywood case とよんでい
るそうですが、Harman and Fukuda(1966) Resolution of the Heywood case in the 
minres solution. Psychometrika. 31:563-71.でその処置を示したそうです。
Harman(1976)にも説明が書いてあるのですが、私が理解するまで読み込んで説明す
るよりも直接原典にあたっていただくほうがいいでしょう。

Haywood case に次の相関行列があがっていました。ついでにSPSS処理のプログ
ラムで示します。
matrix data var=x1 to x5.
begin data
1
.945 1
.840 .720 1
.735 .630 .560 1
.630 .540 .480 .420 1
end data.

FACTOR
  matrix=in(cor=*)/ANALYSIS x1 x2 x3 x4 x5
  /PRINT INITIAL EXTRACTION
  /CRITERIA MINEIGEN(1) ITERATE(100)
  /EXTRACTION uls
  /ROTATION NOROTATE .

ULS等で共通性が1を超えます。ただし、最終解は調整されたのがでます。ま、
SPSSのプログラムに問題があるのかもしれませんが。

>Warning # 11382
>反復の最中に、1.0を超える一つまたは複数の共線性推定値が見つかりまし
>た。この結果得られた不適切な解は、注意深く解釈すべきです。


ULS   extracted   1 factors.    5 iterations required.


Factor Matrix:


              Factor  1

X1             1.02274
X2              .90676
X3              .80502
X4              .70384
X5              .60297



Final Statistics:


Variable     Communality  *  Factor   Eigenvalue   Pct of Var   Cum Pct
                          *
X1                .99900  *     1       3.37527       67.5         67.5
X2                .82208  *
X3                .64795  *
X4                .49531  *
X5                .36351  *

*******
不可解な結果だなあ。「共線性推定値」は共通性推定値でしょうね。因子得点が1
を超えて、共通性が1より小さい!?

またSPSSの問題点が見つかったようですね。

> 普通はデータや因子数が不適当なときに共通性の推定値が1を越えるのでしょ
うか
>ら,分析者に注意を促すという観点からも

そういえるのなら、因子数の問題にも示唆が与えられていいですね。Harman(1976)
ではminres法のところで因子数の有意度の検定の話を入れています。

>ら,分析者に注意を促すという観点からも,”共通性を反復推定しない主因子法
”以
>外の方法がすすめられると思うのですが,いかがでしょう.
> 話はちょっと違いますが,最尤推定法の反復計算の途中で共通性の推定値が1
を越
>えたとき,さらに計算を繰り返すと共通性が妥当な値に収束することもある,そ

SPSSのmlの結果です。

>Warning # 11382
>反復の最中に、1.0を超える一つまたは複数の共線性推定値が見つかりまし
>た。この結果得られた不適切な解は、注意深く解釈すべきです。


ML    extracted   1 factors.    6 iterations required.

>Note # 11379
>ケース数(N)を表すベクトルも行列も指定されていません。カイ二乗統計量を
>計算することができません。



Factor Matrix:


              Factor  1

X1              .99950
X2              .94510
X3              .83962
X4              .73459
X5              .62962

*****
これは、1以下のおさまっていますね。

>
>
> 回転後の因子パターン行列の下に<固有値>と書いている方に利用したパッケ
ージ
>を聞きますと(個人的に聞きやすい方;また,論文にそう書かれていた例を読み
ます
>と),いずれもSPSSでした.ですから,ずっと,SPSSに回転後の出力が
ない
>のが原因かと思っていました(先に原因は統計パッケージか,という書き方をし
まし
>たが,不適切でした.).

SPSSユーザの問題はかなりあるでしょうね。いつも感じています。

> SPSSは因子パターン行列から予測された相関係数行列(対角線は共通性)
の固
>有値を出力していると思いますが

さきほどのULSの共通性が1を超えないのはこのせいかな。

>,回転後も”自乗和=固有値”であると勘違い
して
>因子パターン行列の下に載せているのではないか,と勝手に想像した次第です.

SPSSでよく起こっているのは、「final statistics」のSS loading
を回転後の自乗和と勘違いすることです。SPSSの「最終統計」は回転前の自乗
和です。
そういえば、それを固有値と間違えている場合もあるでしょうね。



香川大学経済学部
        堀 啓造
hori (at) ec.kagawa-u.ac.jp

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