[fpr 215] improper solution

豊田秀樹

豊田@立教社会です

Keizo Hori <hori (at) ec.kagawa-u.ac.jp> さんは書きました:
> ところで、共分散構造分析のプログラムのおすすめは何になりますか。SPSS
>は、7.0ではついにLISREL を採用しなかったようですね。lisrel 8を採用しなか
>ったのは初期のバージョンが不安定なためだったようです。SASのcalisや
>LISRELはインターフェイスに問題がありますね。プロにならないと使いこな
>せない。EQSは使いやすいということで食指をのばしています。SPSSの今度
>採用するというAMOSというのはいいのですか。viewStat は買うことにしました
>が、4月にバージョンアップだそうです。このバージョンアップで共分散構造分析
>ができます。使い勝手はEQSのほうがいいとのことですが。ほかにもいいのがあ
>るのでしょうか。論文ではやはり、LISRELをよく見ますね。

私は,共分散構造分析のソフトは,
第1世代:ユーザーに線形代数の知識を要求する
第2世代:スカラーの方程式が解ればつかえる
第3世代:パス図を書くとある程度プログラムになる
第4世代:自然言語に近く,対話型
という進歩の流れをしていると感じています.

以下,この枠組みで私が使っている(使っていた)ソフトの雑感をのべます.

lisrel8は3と4の機能をもっとも進んだレベルで提供しています.
simplisという機能が付加され,自然言語にもっとも近いようです
バグの報告も時々ありますが,それは一番使用されていることの
裏返しです.高いけれど使い易いソフトです

amosは第3世代の機能をスマートに表現しています.
私の美的センス(要するに素人,たいしたものではない)からは,
パス図が一番きれいにかけます(その他のデザインもきれい!です)
この部分「amosドロー」はcicaでフリーで配布してますから.ただだから
amosを選択するか否かと別に取り寄せて,作図用に利用してもよいでしょう
本体も
http://astro.ocis.temple.edu/~arbuckle/amos.htm
でサンプルバージョンをフリーで配っています.
6変数まで機能制限ないので,ゼミで使用しても効果が高いでしょう
(興味をもった学生だけ製品版を買うとか)
作者は3月来日予定といううわさを聴いています

ビジュアルスタットのシーパスも第3世代のソフトです
このソフトの長所は,次期バージョンから
「日本語化」されることです.心臓部はスタイガーが書いたしっかりした
ソフトなので日本語化を武器にいっきに広がるかもしれません.
翻訳は,立教社会で同僚の山口氏(数理統計学者)が担当しているので
カンペキ(だとおもう)です.

EQSも第3,4のレベルを実現しています.一部ドスに依存している
部分があってそれを良くないという人もいるけれど
私自身は,困ったことはありません.このソフトのすごいところは
数理統計学からの最先端の機能をすばやく取り入れているところです

#余談になりますが,共分散構造分析の1つの大きな長所は,数理統計
#と応用統計がお互いを必要として平行して進歩しているところです
#例えば多変量解析では多変量数理解析と多変量データ解析が
#分離してしまって,数理統計的な膨大な結果が実用的でないために
#ほとんどソフトに取り入れられていません.共分散構造モデルほど
#数理統計と応用統計のギャップが少ない分野はあまりないとおもいます

calisは第2世代のソフトです.インターフエイスが悪いとは思いません
しかし,多母集団比較ができない,質的変数が使えない
という2点が実用的に他のソフトに劣っている.共分散構造分析を
日常的に使用してみるとこの2つの機能がとても大切であることが
実感できるので,これはそうとうのハンデです.
おまけにレンタルで,料金がすごく高いので,たとえば
御金のない(私の)研究室では維持できない.

御金はないし,サンプルバージョン・違法コピーもいやだけど(これは当然),
使いごこちは悪くてもいいし,時間があるから理論の勉強をがっちりしたい
という清貧の方にはMxが,最適です.上記AMOSのホームページ
からたどれて,フルバージョンをフリーで配っています.
0.5世代位のソフトでインターフエイスは最低で,すごく使いづらいのですが
そのぶん共分散構造モデルの理解は促進されます.もちろん出力は正確です.

#服部先生のソフトは製品化(シェアウエア化? フリー化?)されるのでしょうか
#ちなみに私がIMLで書いたソフトは廃盤化しました

最後にLISCOMPですが,これは1次期,他のソフトに質的変数の
扱いに関して多大な影響を与えたという歴史的使命をおえて
現在選択する理由はありません.歴史的経緯を語るには
なくてはならない逸品ですが....理論家自身が作っているソフトには
体力的な眼界があるということでしょう

というのが,現状に対する私の雑感です.ここで皆様に御願いがあります.
違法コピーはやめましょう.それはLISPOMPやここで挙げなかった弱小
ソフトもそうですが,使い易いソフトに成長できるかどうかは,
ある程度,作者の財力に関係するからなのです
また私自信は,第3者を通じて購入しましたので,具体的な購入方法は
ほとんど知りません.

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Hideki TOYODA Ph.D., Associate Professor,      Department of Sociology
TEL +81-3-3985-2321 FAX +81-3-3985-2833, Rikkyo (St.Paul's) University
toyoda (at) rikkyo.ac.jp  3-34-1 Nishi-Ikebukuro Toshima-ku Tokyo 171 Japan                                  
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