繁桝(東大教養)です.長いhibernationから抜け出したく一筆. 一つはお知らせです.計量心理学の一つの分野として、項目応答理論(IRT)があり、 統計的にチャレンジングであるばかりでなく、実用にも、即ち、テストを作成したり 実施する(特に適応的に)際に、その有効生があるとされています. そのIRTに関するセミナーが、4月1日、駒場の2号館にて、おこなわれます. このセミナーは、今回で4回目ですが、 IRTに関して興味を持つ研究者の多くが 集まっており、楽しい会です.今回は、期日の設定が悪かったせいか、発表希望者も 参加者も少数です. 項目応答理論とは何だろうというような興味ででも、修論でテストを作らなければ ならないがという人も、歓迎致します.そのような方は、e-mailで、繁桝まで、 後連絡下さい. IRTは、コストパフォーマンスが低く役に立たないと思っている人も IRTを使ってテストを作成したことのある大御所に話を聞く企画も立てていますので 本当に恰好だけではなく、役に立つんですかと聞いて見て下さい. 因子パターンか、因子構造かという問題は、因子パターンで十分という結論に至り そうですが、私は、両方必要ではないかと思います.即ち、当然のことながら、 両者は意味が違います. 因子パターンは、重みですから、他の変数は一定の場合に、1単位の潜在変数 (因子得点)の変化に対する基準変数の動きを表し、構造とは、潜在変数と観測変数の 相関です(南風原さんの指摘どおり).ゆえに、テストの下位尺度を作る為ならば、 因子パターンが有効なのは明らかですが、因子を解釈するならば、実験計画を 想定できるような、即ち、他の変数と独立に操作できることを頭の中ででも考え られるならば良いのですが、通常のインヴェントリィのばあい、そうではなさそうで 因子の意味を把握するには、観測変数のどれと関係しているのかの方が、情報が多い のではないかと思います.(どこか誤解しているのかな?) もっともこの話は、因子の解釈にどれほど意味があるのかということとは別の話、 また、因子得点の推定の信頼性の話とも別の話です.念の為.)
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