南風原@東大教育心理です。 豊田さん@立教社会 wrote: >> 私は,反復のない主因子法は,セントロイド法といっしょに博物館にならべた >> ほうがいいと考えています.私自身は,学部時代に反復のない主因子法を最初 >> に勉強したのですが,そのために因子分析法がとても難しく感じられました. >> 統計モデルの推定法として非常に特殊で正確でないからだと思います.院生に >> なってから最小2乗法を知り,はじめて因子分析が素直に解った気がしました. >> また反復のない主因子法を学生に教える場合には固有値の知識を必要とします >> が,最小2乗法では,それが必要有りません.基礎知識のハードルが低いとい >> うことです.ソフトウェアの環境も反復のない主因子法は主流ではありません. >> 理論的な優劣はすでに決着していると思いますが,教科教育的観点から,当時 >> 反復のない主因子法を,因子分析法の推定法の教材として選択する理由はあっ >> たのでしょうか? 前章の「主成分分析」のところで固有値・固有ベクトルの解説をしたことも あって,「因子分析」の章では,主成分分析と同じようにして計算のできる 方法を紹介しましたが,確かに,固有値・固有ベクトルが理解できなければ それがネックになります。また,主成分分析による変数合成と相関行列への 因子分析モデルの当てはめの違いを明確にするためにも,因子負荷による変 数間相関係数の「再現」の話に続けて,最小2乗法によるモデルの当てはめ (因子負荷推定)の議論をしたほうが,教育的観点からも良かっただろうと 思っています。 ==================== 南風原朝和 (はえばら ともかず) haebara (at) educhan.p.u-tokyo.ac.jp 〒113 文京区本郷7-3-1 東京大学教育学部 TEL: 03-5802-3350 FAX 03-3813-8807 ====================
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