はじめまして、奈良教育大学大学院数学教育専攻の山中伸一と申します。 いつも活発な議論を見せていただいております。 しかし、私にとってはあまりにもレベルの高い話ですので、 議論についていくことができません。 このような私が、この場で以下のような質問をさせていただくとは 大変失礼なことであることは十分承知しておりますが、 どなたに相談していいものなのかわからず、先生方のお力をおかりしたいと思います。 素朴な質問をさせていただきます。 私は次のようなアンケート項目を、数量化3類を用いて因子を抽出し、 分析しようと考えています。 そこで、 Q1:このような数量化3類の使い方は妥当ですか Q2:解釈の仕方は妥当ですか Q3:このほかに適した分析方法はありませんか という3点について、先生方のご意見をお聞かせいただければ幸いです。 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆現在、私は小学校教師の算数教育に関する意識調査を分析しています。 分析目的は、小学校教師が算数教育の目標を決定している因子を抽出し、 それらが指導実践とどのように関わっているかを明らかにすることです。 そこで、今回次のような調査項目を設けました。 ********************************************************************************** 1.算数科の目標をあなたはどのように考えますか。大切と思われる項目を3つ選んで ○印を記入してください。 ①数学的な見方や考え方を身につける。 ②自己実現のための基礎・基本的な学力を身につける。 ③論理的な活用能力を身につける。 ④情報処理や活用能力を身につける ⑤自らの行動を決定できる能力を身につける。 ⑥問題解決能力を身につける ⑦数学の美しさやよさがわかる ⑧数学に興味・関心をもつ ⑨算数を生活に生かそうとする態度をもつ 。。ュェ、ス、ホツセ 2.あなたの計算指導についてどのような点に留意されていますか。 あてはまる項目に○印を記入してください。 ①計算力が一番大切なので、数学的考え方よりも計算指導に十分時間をかけている ②計算は数学の基礎であるから、数学的な見方・考え方と同様に時間をかけている ③数学的見方・考え方が大切であり、計算は将来電卓やコンピュータにまかせばよいから 計算練習は減らしている 。。ュ、、ス、ホツセ ************************************************************************************ この調査項目に対して、1.の○を1、無記入を2、として、数量化3類を用いて 数値計算を行ってみました。(HALBAU使用) 【数量化理論3類・双対尺度法:重み係数[ 横変数/項目]】 ( 1 / 3 ) --------------------------- 項目-カテゴリ 成分 1 -3.8 0 3.8 --------------------------- |----+----+----+----+----+----+----+----| 3 1 2.025 |HHHHHHHHHHH 2 2 1.860 |HHHHHHHHHH 4 1 1.692 |HHHHHHHHH 1 1 1.230 |HHHHHH 9 2 0.450 |HH 7 2 0.248 |H 5 2 0.184 |H 10 2 0.114 |H 8 2 0.088 | 6 2 0.043 | 6 1 -0.055 | 8 1 -0.147 H| 4 2 -0.564 HHH| 9 1 -0.749 HHHH| 3 2 -0.920 HHHHH| 1 2 -1.581 HHHHHHHH| 2 1 -1.642 HHHHHHHHH| 5 1 -2.756 HHHHHHHHHHHHHHH| 10 1 -3.532 HHHHHHHHHHHHHHHHHHH| 7 1 -3.721 HHHHHHHHHHHHHHHHHHHH| --------------------------- |----+----+----+----+----+----+----+----| 固有値 0.207 寄与率 20.737 累積寄与率 20.737 カイ2乗値 68.208 (自由度) ( 49) 有意確率 0.03609 --------------------------- H = 0.190, ()内は範囲。 【数量化理論3類・双対尺度法:重み係数[ 横変数/項目]】 ( 2 / 3 ) --------------------------- 項目-カテゴリ 成分 2 -6.7 0 6.7 --------------------------- |----+----+----+----+----+----+----+----| 10 1 6.675 |HHHHHHHHHHHHHHHHHHHH 6 1 1.715 |HHHHH 7 1 1.536 |HHHHH 3 1 1.408 |HHHH 8 2 1.187 |HHHH 1 2 1.104 |HHH 4 1 1.008 |HHH 9 2 0.848 |HHH 2 1 0.266 |H 5 2 0.142 | 7 2 -0.102 | 10 2 -0.215 H| 2 2 -0.301 H| 4 2 -0.336 H| 3 2 -0.640 HH| 1 1 -0.859 HHH| 6 2 -1.334 HHHH| 9 1 -1.413 HHHH| 8 1 -1.979 HHHHHH| 5 1 -2.130 HHHHHH| --------------------------- |----+----+----+----+----+----+----+----| 固有値 0.163 寄与率 16.266 累積寄与率 37.003 カイ2乗値 52.104 (自由度) ( 47) 有意確率 0.28204 --------------------------- H = 0.335, ()内は範囲。 以上より、各軸に対して次のような解釈を加えました。 1軸:(+)論理を大切にした算数教育観 ←-→ 感性を大切にした算数教育観(-) 2軸:(+)学問としての算数観 ←-→ 日常生活の道具としての算数観(-) この1.によってえられた2つの座標軸に 2.のサンプルスコアの平均値をのせて 考察しようと思います。 1軸 |・4・3 ----------------|--------------------2軸 | ・| 1| | 2・ | ここから、「計算指導を重視」する教師は、日常生活での有用性を意識した算数指導を、 「数学的な見方・考え方を重視」する教師は、体系化された学問性を意識した算数指導を している、と解釈しました。 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ ***************************** 奈良教育大学大学院 数学教育専攻 山中 伸一 e-mail:z958402 (at) nara-edu.ac.jp *****************************
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