豊田さん いくつかのコメントでいろいろ勉強になりますが、時々、ウムムとなるとこ ろがあります。記憶が若干怪しげですが、まとめて質問します。(ちゃんと調べ ろといわれそうですね)。 1. 最小二乗法とはランクの小さい行列による共分散行列(対角要素は共通 性)の近似問題であり、tr(S-LL')^2を基準とするならば、固有値問題に帰着すると いうのが私の知識ですが、ここでは違った意味で使われているのですか。 2. 直感的に理解しやすい最小二乗解(LSQ)よりも、統計的に健全な一 般化最小二乗法、周辺最尤法へとの移行は1種の必然かもしれませんが、これが 不適解の多さと結び付けられるとすると疑問に思います。(これは豊田さんの意見 ではない?それどころか誰の意見でもない?それならもちろんそれで良いのですが) 不適解については、何も、LSQの専売特許ではないし、また、これは、むしろ、技法の 問題であり、世の中にたくさんある制約条件下の最適化のアルゴリズムを使えばよい というのが持論です。(こうしないのは、理論的理由があるのか、プログラマーの 怠慢なのか、どちらなんだろう?)元々、不適解の問題は、数学的に収束の保証の ない素朴な繰り返しアルゴリズムを採用したせいで増幅されているのだとも思うし、 理論的に、不適解を防ごうと思えばベイズ的にそうすることもできるし―――― (きりがない)。不適解は、モデルがデータに適合していない指標であるから このままにしておいた方が良いという意見があることは承知していますが、モデルと データの適合という大問題は、理論的にすっきりしたより鋭敏な方法によるべき でしょう。 3. 因子得点の分散分析をするな(屋上屋を重ねるな)というご意見は、因 子を解釈すれば立派に独り立ちする風潮に対する警鐘でしょうか。警鐘の部分は わかるのですが、本来、誰も観測しない因子に対する情報としては、因子負荷量も 因子得点も同等の情報を持っているはずです。それに、因子得点の推定の不安定性を いうならば、バイアスのないノイズの累積ならば、個々の因子得点の値をうんぬん するよりも分散分析の方がロバストです。また、この誤差の累積ということ自体、 その非は現行の2段階のいわゆるconditional analysis的な方法に帰すべきで、 私は、因子負荷量も因子得点も対等に、たとえば、MMLで推定すればよいと思って います。 4. これは、2、3日前に書いたことですが、因子回転基準は、パターンで かいても、構造でかいてもよいわけですから、自分でプログラムをかくつもり ならば、因子構造の単純構造が得られます。この方が、解釈の上では有利のような 気がしますが、いかがですか。少なくとも、本来、日常的観察の上で関係があると 思っていた変量の負の重み(因子負荷量)の解釈に悩まなくてもすむのでは? (この際、アメリカの雑誌でどうこうというのはあまり関係がないと思いますが) ほかにもウムムがあったような気がしますが思い出せません。もし、また思い 出したら書くことにして、上記の質問に興味があればお答えいただければ幸いです。 繁桝算男
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