鈴木@日経リサーチです. 山中伸一さん wrote: >> Q1:このような数量化3類の使い方は妥当ですか >> Q2:解釈の仕方は妥当ですか >> Q3:このほかに適した分析方法はありませんか >>という3点について、先生方のご意見をお聞かせいただければ幸いです。 私はクライアントからの要求がない限り,自主的には3類を使いません. (不勉強でうまく使いこなせないだけなのですが).大きな理由は解釈が難し いからだと思います.それで3類を求められるといつも類似した手法をすべて 比較して結論にアプローチしていきます.主成分分析,因子分析,正準相関分 析,正準判別分析などを一連の作業として実行するだろうと思います.Q3の 「ほかの手法」をいいたいわけではありません.これはデータを集めた本人が 一番よくデータを知っていおり,余計なお世話かも知れないので,私だった ら,どうするかというご参考です.(なお私の経験はいつでも数百から数千件 の大標本の調査データによっています). <1>クロス集計をします.もしも単純集計で10%や90%の変数があった ら,こんな小さな分散の変数を多変量解析しても意味がないと思うので除外し ます.もしも10変数とも10%前後のようなデータを因子分析すると,それ こそヘイウッドケースになると思います. <2>「留意点*大切項目」の分割表に対して3類をやっても,よく似た布置 が得られるような気がして,2値変数の3類のついでにやることがあります. 単に,解釈の安定さを確認するだけかも知れませんが. <3>2値変数を2個のダミー変数に倍増させて3類をやるのは,対象な空間 を作る以外に使いみちがよく分からないので,2値変数のまま,つまり10変 数として分析します.このデータの相関行列を主成分分析して3類と比較する と,よく似た結果になると思います. <4>主成分分析をしてみると,解釈が難しいことが多いので,回転したくな り,結局,因子分析がわかりやすい,という結果になります.因子分析でなく 3類を使いたいという人の意見の1つは,「因子分析の解の不定性」への批判 ですが,解釈するなら回転した方が簡単な気がします.もちろん解釈すること への批判もありますので注意が必要です. <5>因子分析を避ける,もう1つの意見は,「カテゴリカルなデータだか ら」ですが,2値変数だったら,案外うまくいくような気がしています.ただ し,2値変数のピアソン相関行列を因子分析することは「好ましくない」と, 柳井他「因子分析」朝倉書店,に書いてありますので,私は間違ったことをや っているのかも知れません.あるいはもっといいモデルがあるかも知れません が,私は実用したことがありません. <6>「留意点」と「大切項目」の関係を知るのが目的であったら,正準相関 分析をすると思いますが,この場合「留意点」は1変数なので,4群の正準判 別分析をする.目的は「留意点」の置き方の相違は,なにを「大切」に思って いることから生じているのかを明らかにする,ということになります. 鈴木督久(日経リサーチ) KGH00763 (at) niftyserve.or.jp
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