[fpr 267] WAIS-R

堀啓造

堀 啓造@香川大学経済学部です。見苦しいですが、70桁にしました。

"服部 環 " さんは書きました:[fpr 262]

> だいぶ前に,私は,
>
>>> 話はちょっと違いますが,最尤推定法の反復計算の途中で共通性の推定
値が1
>>を越>えたとき,さらに計算を繰り返すと共通性が妥当な値に収束すること
もある,
>そ
>
>ということを書きました.私自身は,探索的因子分析でそのようなことを経
験したこ
>とがないのですが(ただ,共分散構造分析では,不適解から許容解に戻るこ
とはそれ
>ほど珍しいことでもないと思います),私にお話をしてくださった方は,種
々の工夫
>を凝らして個人的に作られたソフトで経験されたようです.聞き間違いでけ
れば(確
>認は取っていませんので,違うとまずいですから,お名前は伏せます),何
十万回か
>数百万回以上の反復をしたときに不適解でなくなったのを体験されたそうで
す.その
>時の印象では,きわめてまれな現象だと思いました.
>
> ところで,FPR182で堀さんが不適解の例示をされました(その後,鈴木さ
んも).
(中略)

> この結果は共通性が1以下になりますが,これは何らかの制約をおいて計
算した最
>尤推定値(といってもよいのでしょうか?)でしょうから,「>> 話はちょ
っと違い
>ますが,最尤推定法の反復計算の途中で共通性の推定値が1を越>えたとき,
さらに計
>算を繰り返すと共通性が妥当な値に収束することもある」の事例とは別だと
思います.
>なぜなら,この相関行列に1因子を仮定したとき,次の値が相関行列を完璧
に再現で
>きる解になるからです(最小自乗法や重み付き最初自乗法でも,制約を課さ
なければ,
>この値になるはずです).

最小自乗法ではこの値に近い値になりましたが同じ値にはなりませんでした。

ところで、そうすると、[fpr 254] WISC-R age 12 のml解は2因子でも不適解
ということになります。自乗和を計算して○に変更しました。2因子でも不適
解のものを3因子を求めていることになりますね。豊田さん[fpr 260]の

toyoda (at) rikkyo.ac.jp さんは書きました:
>まず,臨床的には3種類の変動が実感されているので,統計的に2因子vs3
因子
>という議論はしないで3因子を採用してよいと思います.実感にあわないモ
デル
>を提示してもしかたが無いと思うからです.

の意見は3因子の採用でもかなり強引なものと思われますが2因子さえ問題と
なるといっそう強引に思われます。データからなにかいうことを捨てる方が正
当なのではないでしょうか。もっとも、豊田さんの論理からすると、良性のケ
ースということかもしれませんが。
(x)
toyoda (at) rikkyo.ac.jp さんは書きました:
>これは3番目の変動を主として
>測定している観測変数が2つしかないためですが,

このロジックがあるなら、その2変数を除いて分析するという考えもあると思
います。

知能テストの結果は、あまり少ない観測変数のセットに対して多因子を期待し
て因子分析をするのは問題がありそうだということにならないですか。


服部さんが『Q&A 心理データ解析』福村出版(1996) p159
に書いている
>なお、反復計算の途中で共通性の推定値が1を超えるときがあります。これ
>をヘイウッドケースとよびます。解として許されない典型的な不適解です。>
そのようなときは因子数を減らすか個人数を増やします。それでもだめなと>
きは、共通性を反復しない主因子分析を使うしかありません。

ま、入門書として、あまり込み入ったことがかけないという制限で書いている
のでしょうが、とりあえずの基準としてありうるのではないでしょうか。
ただし、
(a)因子数を減らすか
(b)個人数を増やします。
(c)それでもだめなと>きは、共通性を反復しない主因子分析を使うしかありま
せん

で、(b)は実験や調査のやり直しということになります。つまり、そのデータ
はそのままでは使わない方がいいよということです。

これに付け加えるなら、(b')変数の数を増やしてみるというのもありそうです
。

(x)が確かなら、確認できる高次の因子の数は少ないともいえそうですね。

香川大学経済学部
        堀 啓造
hori (at) ec.kagawa-u.ac.jp

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