堀 啓造@香川大学経済学部です。
[fpr 271]の続き。
toyoda (at) rikkyo.ac.jp さんは書きました:[fpr 235]
>そのとき現在はマル印とそうでないもの(1,2)両方とも変数として扱っ
てますが
>(項目10を抜けば変数の数は18)マルをしたもの(1だけ)を変数とし
て分析し
>たもの(変数の数9)との,比較をすると,きっと面白いですよ.
こういう考え方は数量化3類にありますね。そこで分析していました。
SASの対応分析です。
1軸の得点
Column 主成分
Coordinates 分析
Dim1 FACTOR1
COKEO -0.81381 -0.88627
DIETCO 0.77501 0.78369
DIETPO 1.01701 0.63560
DIET7O 1.18734 0.67680
PEPSIO -0.84121 -0.74162
SPRITEO -0.61906 -0.38630
TABO 1.18812 0.84395
UP7O -0.68297 -0.42521
Squared Cosines for the Column Points
8カテゴリ 16カテゴリ 16カテゴリの
相関係数 前回分析 場合の平方根
の2乗
Dim1 Dim1 SQRT(DIM1)
COKEO 0.758849 0.785480 0.886273
DIETCO 0.642082 0.614178 0.783695
DIETPO 0.396383 0.403982 0.635596
DIET7O 0.439292 0.458054 0.676797
PEPSIO 0.530781 0.549993 0.741615
SPRITEO 0.174921 0.149224 0.386295
TABO 0.696315 0.712246 0.843947
UP7O 0.199273 0.180802 0.425208
というように、この分析をする意味ははっきりしません。私は、このように、
YES反応(2値のうち一方)を分析するのは、数量化3類のバート行列を分
析するのとは意味がまったく違っていると考えています。この2つは別の名前
をつけるべきものです。せいぜい、ガットマン尺度の代わり程度の意味しかな
いのではないでしょうか。なにかYES反応だけを分析する意味があれば教え
てください。
16カテゴリで分析を例にとって、もう少し別のことを説明します。
軸の得点は同一アイテム内では平均0になるように調整されています。
(b)はダイエットコークですが、これは1週間に飲んだ人と飲まない人が同じ
人数いることがわかります。(a)コーク(c)ダイエットペプシの人数比もこれで
割り出すことができます。
1軸得点 頻度
(a) COKEO -0.74151 20
COKEX 1.05930 14
(b) DIETCO 0.78369 17
DIETCX -0.78369 17
(c) DIETPO 1.14584 8
DIETPX -0.35257 26
欠損値がない場合、何%の人が反応したかで、そのそのカテゴリの得点の可能
な最大値を求めることができます。Gifi(1990)p112-113.
>
> | 100−x |1/2 | 100−x |1/2
> −|----------- | ≦ y ≦ |----------- |
> | x | | x |
>
>|は絶対値の意味ではなくカッコの代わりに使ってます。
相関係数の絶対値は、
(対応分析の軸得点)
相関係数= ---------------------------
| 100−x |1/2
|----------- |
| x |
(a)のコークの場合(20:14 58.8%,41.2%)
-.74151
相関係数=-----------------------=-0.8858
sqr((100-58.8)/58.8)
(b)のダイエットコークの場合(17:17 50.0%,50.0%)、
0.78369
相関係数=-----------------------=0.78369
sqr((100-50)/50)
(c)ダイエットペプシの場合(8:26 23.5%,76.5%)
1.14584
相関係数=-----------------------=0.6350
sqr((100-23.5)/23.5)
と誤差の範囲におさまっていて上の値と一致する。
つまり、そのカテゴリは何%の反応があったかがわかれば軸得点からそのカテ
ゴリと軸との相関係数を計算することができる。
このように考えると、軸得点または、数量化3類のアイテムカテゴリ数量を重
視する理由はあまりないのではという疑問も起こる。つまり、アイテムカテゴ
リ負荷量をチェックしないため、頻度の少ないカテゴリを不必要に重視するこ
とになっている。
香川大学経済学部
堀 啓造
hori (at) ec.kagawa-u.ac.jp
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