岡田努 <okada (at) ed.niigata-u.ac.jp> さんは書きました:[fpr 300] >分散・共分散行列をもとにした主成分分析での「主成分負荷量」の解釈の仕方 >について,混乱しています.. >わけあって,上記の指標によって,主成分を解釈しなければならないのですが... > >多くの教科書では,抽出された主成分を解釈する指標として「固有ベクトル」を >用いることは,説明されていますが,主成分負荷量についての説明というのは >どうも見当たりません. >ところがhalbau(ver4)という現代数学社から出ているソフトの出力では, >固有ベクトルではなく「主成分負荷量」が出力されます. >「相関行列を元にした主成分分析」の場合の負荷量ならば,因子負荷量と同じような >基準で解釈できるのではないかと思うのですが,「分散共分散行列」をもとにした >主成分負荷量は,−1〜+1の範囲に納まらないようです. >この場合,どのような基準で考えたらよいのでしょうか? 負荷量(loading)というのは軸との相関をいっています。ですから、絶対値が1以内のは ずですが。HALBAU関係者の意見を聞きたいですね。 >halbauのマニュアル(多変量解析編)には分散共分散行列による分析に関しては, >説明が書かれていませんでした.手元の多変量解析の教科書を5,6冊当たった >のですが,いずれも,「主成分負荷量」という言葉は,全く登場しません. >(唯一,一冊だけ「(固有値のルート)×固有ベクトルのことだ」とだけ, >書かれている本があっただけです.) どの教科書をあたったのでしょうか。教科書ではないですが、 (a)(主)成分負荷/成分相関(component loading) 田中豊・垂水共之編(1995)統計解析ハンドブック・多変量解析 Windows版 共立出版 p92 C.チャットフィールド/A.J.コリンズ(1986)多変量解析入門 培風館 p65 Dillon,W.R. and Goldstein,M.(1984) Multivariate analysis. Wiley p34 Krzanowski and Marriott(1994) Multivariate analysis;part1 distributions, ordination and inference. Edward Arnold. p85 (b)因子負荷量(factor loading)と言っている例 鷲尾泰俊・大橋靖雄(1989)多次元データの解析 岩波書店 p147 大松繁ほか(1986)理工学基礎多変量解析 培風館 p66 Stevens,J.(199)Applied multivariate statistics for the social sciences. LEA p364 Kline,P.(1994)An easy guide to factor analysis. Routledge. p36 (c)loading に言及しているがとくに名前を言っていない例もあります。 Everitt and Dunn(1991) Applied multivariate data analysis. Edward Arnold. p49 >教科書に載っている数値例データを これが何をいっているのかわかりませんが、 高木廣文・柳井晴夫編(1995)HALBAUによる多変量解析の実践 現代数学社 第6章 にデータがでていますので、これを分析します。HALBAUの分析結果はこの本にでていて (p87)、すべて絶対値が1以上になっています。 田中豊・垂水共之編(1995)統計解析ハンドブック・多変量解析 Windows版 共立出版 のソフトで分析すると次のようになります。10主成分まででましたが、3因子までを掲 載します。 ----------------------------------------------------------- 主成分ともとの変量との相関 1 2 3 プロっぽい 0.20921 -0.76672 0.59730 カッコいい 0.42525 -0.56264 0.07102 好き 0.94289 -0.24426 0.04476 かわいい 0.75615 0.31286 -0.29495 一般的 0.66658 0.62311 0.23843 ミーハー 0.94147 0.21323 -0.09606 初心者 -0.21235 0.88814 0.09594 ダサイ -0.66393 0.67679 0.18689 嫌い -0.60877 0.39763 0.47281 分からない -0.71814 -0.27728 -0.32264 固有値 1157.00100 757.83840 180.70260 寄与率 0.49477 0.32407 0.07727 累積寄与率 0.49477 0.81884 0.89611 -------------------------------------------------------------------- ついでに私がつくったSPSS用マクロの実行結果は次の通りです。 ------------------------------------------------------------ 共分散行列の主成分負荷量 と 固有値 1 2 3 T1 .209 .767 .597 T2 .425 .563 .071 T3 .943 .244 .045 T4 .756 -.313 -.295 T5 .667 -.623 .238 T6 .941 -.213 -.096 T7 -.212 -.888 .096 T8 -.664 -.677 .187 T9 -.609 -.398 .473 T10 -.718 .277 -.323 固有値 1157.001 757.838 180.703 寄与率 49.477 32.407 7.727 累積 49.477 81.884 89.611 ---------------------------------------------------------- 四捨五入の範囲で一致しています。HALBAUがおかしいだけです。 香川大学経済学部 堀 啓造 hori (at) ec.kagawa-u.ac.jp
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