宇都宮大学教育学部の服部です. 鈴木@日経リサーチさん[fpr 369]からの引用です. >>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>> 服部・海保(1996)『心理データ解析』(福村出版)を読みました。8章の共分散 構造分析を勉強しようと思い、p.174の「5教科のデータ」を CALIS ( R6.10 ) で実行してみました。その結果、(1)誤差分散の値が微妙に本と違う(2) AIC, CAIC が CALIS の定義と違うという2点が気になって調べたいのですが、 なにかアドバイスいただけませんでしょうか。 <<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<< (1)誤差分散の推定値について 表8-2(p.174)の数値はLISREL8とSEPATHを使って計算した標準化解(共通因子と 測定変数の分散を1としたときの推定値)です. CALISの場合ですと,鈴木さんのプログラムを実行したとき,おしまいに出力さ れる Variances of Endogenous Variables の R-squared を1から引いた値が,誤 差分散の標準化解に等しくなります.以下が,その出力の一部(R6.04を利用)と 電卓を叩いた結果です.四捨五入をするとV3の値が表8-2の値と一致しませんが, 原因は収束基準にあります.gconvをもっと小さくすれば,p.174の値と一致します. Variances of Endogenous Variables ------------------------------------------ Variable Estimate R-squared 1からR-squared ------------------------------------------ を引いた値 1 V1 0.979329 0.362343 0.637657 2 V2 0.998938 0.307161 0.692839 3 V3 0.991170 0.363381 0.636619 4 V4 0.991536 0.516149 0.483851 5 V5 0.999665 0.389456 0.610544 (鈴木さんのプログラムですと,CALISは測定値の相関係数行列を分析データと して用いるのですね.オプションのCOVを付けると分散共分散行列を分析データに しましたが.) >>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>> AIC, CAIC の比較は以下のとおりです。 ------------------------------------------------------------------- CALIS p.174モデル3 ------------------------------------------------------------------- Chi-square = 3.4966 df = 3 Prob>chi**2 = 0.3212 3.496/3/0.321 Goodness of Fit Index (GFI) . . . . . . . 0.9940 0.994 GFI Adjusted for Degrees of Freedom (AGFI) 0.9701 0.970 Akaike's Information Criterion. . . . . . -2.5034 27.496 Bozdogan's (1987) CAIC. . . . . . . . . . -15.8821 81.011 服部他(1996) CALISの定義 ----------------------------------------------------------------- AIC = chi^2 + 2t = chi^2 - 2df = 3.496 + 24 = 3.4966 - 6 = 27.496 = -2.5034 CAIC = chi^2 + t(log(n) + 1 ) = chi^2 - ( log(n) + 1 )df = 3.496 + 12(log(235) + 1) = 3.4966 - 3( log(235) + 1 ) = 81.011 = -15.8821 tは推定すべきパラメータ数(12)で,dfはカイ2乗分布の自由度(3)で,両者には 情報の数(分散と共分散,15)を介して一定の関係がありますが,AICは同値に なり比較にとってはどちらでもいいことになっているのでしょうか?.流儀でも あるのか?.EQSはSASと同じですね.服部他(1996)の定義はBollen(1989)などに あります.一般に AIC = -2( MLL - t ) かと思いますが( MLL は chi^2 に近 似できるとして)これもまた少し違うけど同値?.なんでもいいのかな. <<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<< (2)情報量基準の定義式について 情報量基準はモデル間の差に意味がありますので,差自体は等しいですから,AIC = chi^2 + 2tでも,AIC= chi^2 - 2dfでもよいのだと思います.服部他(1996)はLISREL8 に準拠しましたが,SEPATHはLISREL8で使っている値をN-1(ここでは234)で割っていま す. AIC = chi^2 + 2tを使いますと,推定する母数の数tを増やすとペナルティーが与え られる,というのがわかりやすいと思いまして,こちらの式を使いました. ちなみに,SASのFACTORは,AIC = chi^2 + 2tを使っていますので,同じソフトでも 一貫していないようです.
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