[fpr 400] 個体差

Y.Hasegawa長谷川

<199609190047.AA09909 (at) sinet.ad.jp> の、
   "[fpr 398] 個体差 " において、
   "C00279 (at) sinet.ad.jp"さんは書きました:

> 長谷川氏のメイリングに次のような箇所があります。
>  
> >私自身が最近感じるのは、“何で、個体差ばかりを説明したがるのか”ということです。
【中途略】
>  
>  上記の問題の場合、固体差に注目しない問題とはどのようになるのでしょうか?
【中途略】
> 人間科学においては、固体差の要因も大切だと思います。

大先輩の岡本さん、お久しぶりです。どうかお手柔らかに..。
個体差の分析が無意味だという意味ではなく、ほかの側面にも目を向けてほしいという意味で
申し上げたつもりなんですけれど。

たとえば、“なぜ子供はファミコンに熱中するのか”という問題を考える場合、ファミコンに熱
中している子供やそれに無関心な子供をひっくるめて個体差の分析をすれば、“こういう子供は
ファミコンに熱中しやすい”という予測因は明らかにできると思います。
けれど、ファミコンに熱中している子供において、何がその行動を維持・強化しているのかとい
う分析も同じぐらい大切ではないでしょうか。特に、ファミコンに熱中することが勉強の妨げに
なっている子供がいた場合、個体内の分析が欠けていたら改善には結びつかないのではないかと
思います。
私のところの学生に関して言えば、“この行動(あるいは行動現象)の原因は何か”という問題
がいつの間にか“この行動をする人としない人との違いは何か”という問題に置き換わってしま
い、質問紙調査に走ってしまう傾向がどうも強いように見受けられます。
これはfprよりもむしろ心理学の一般教育に関するメイリングリストのほうで話題提供すべき
問題かもしれませんが、“行動の原因”ということと“行動の規定因”や“行動の予測因”とい
うことが区別できるように教育することも必要ではないかと思っております。



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 長谷川芳典
 Yoshinori Hasegawa                             
 電話    086-251-7402                           
 共用Fax 086-253-1449                           
 700 岡山市津島中3-1-1 岡山大学文学部心理学教室   
 常用E-mail hasegawa (at) cc.okayama-u.ac.jp         
(上記が不通の場合は F00975 (at) sinet.ad.jp)       
http://www.okayama-u.ac.jp/user/le/psycho/member/hase/h0u.html
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