堀@香川大学経済学部です。 長谷川芳典[fpr 400] さんは書きました: >たとえば、“なぜ子供はファミコンに熱中するのか”という問題を考える場 合、ファミコンに熱 >中している子供やそれに無関心な子供をひっくるめて個体差の分析をすれば 、“こういう子供は >ファミコンに熱中しやすい”という予測因は明らかにできると思います。 要するに相関研究にしかならないということですね。関連性はいえても、因果 的モデルにはならない。心理学の本来(?)の志向として、学習実験や実験条 件コントロール型(たとえば実験社会心理学)の研究があるのだけど、そうい うところにはどうも行き着かない。さらに心理学科にいるのにそういう思考法 もあるのだとは思いもつかない。この問題は臨床が心理学の中心という世間の 認知以上に深刻なダメージかもしれません。 もちろん両方のタイプの研究が重要です。わたしも相関研究しかできない状況 です。しかし、研究法として、学習実験や実験条件コントロール型が弱くなる と、心理学が自信をもって語れるものが少なくなります。 まあ、調査研究でもパス解析や共分散構造モデルなどで、「因果」研究をやる ようになってますが、つねに弱い検証であることを銘記すべきでしょうね。 「因果」にこだわるのは西洋の「近代」のパラダイムであります。東洋の「気 」の立場からすれば「相関」こそが重要です。このあたりの対立として考えて もおもしろいかもしれません。 香川大学経済学部 堀 啓造 e-mail hori (at) ec.kagawa-u.ac.jp home page http://fourier.ec.kagawa-u.ac.jp/~hori/
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