[fpr 437] 臨床心理士資格認定

Y.Hasegawa長谷川

長谷川@岡山大学文学部心理学教室です。
さきほど同じ内容の発言をしましたが、うっかり漢字コードをSJISに設定したままで
送ってしまい、文字化けのご指摘をうけました。
このあたりの専門的知識がなくてよくわからないのですが、従来どおり、JISの設定で
再度送信させていただきます。mboxを膨張させてしまってごめんなさい。
-----------ここから再度送信
以下のようなメイルをある人からいただきました。
fprの設立趣旨からはずれるかもしれませんが、“実験系、応用系を問わず共通の
問題意識をお持ちの方に、お送りください。”という添え書きがあり、またfprに
参加している基礎系あるいは社会心理学系の教官の将来の身分にも影響する可能性の
ある問題ですので、コメントぬきでご紹介したいと思います。
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 長谷川芳典(岡山大学文学部心理学教室) hasegawa (at) cc.okayama-u.ac.jp
 http://www.okayama-u.ac.jp/user/le/psycho/member/hase/h0u.html
 原文の一部or全文引用,転送,改行はご自由に(但し出典明記してください)
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=====================以下、引用===================
 臨床心理士資格認定協会の大学院指定制を考える会(仮称)設立準備会趣意書
                                   1996年9月10日
心理学関係者各位
 今般、財団法人日本臨床心理士資格認定協会(以下認定協会と記す)により提案
され平成8年4月1日付で発効された「臨床心理士」資格認定のための大学院指定制
の問題を考える場として、私たちはここに標記の会(仮称)を設立し活動していこう
と思っています。なお本会の設立は、「認定協会」の提案を単に反対することが目的
なのではなく、心理学全般の健全な発展を願ってのことであることは申すまでもあり
ません。私たちは、心理学が社会的に認知されることに対して、大いに賛成いたすと
ころです。その意味では、近年の心理学諸学会で独自の資格認定の問題が議論され設
立ないしその動きがあることに対してはある面で望ましいことと思っています。しか
しながら、私たちはあくまで心理学全領域の共存的発展を望むのであって、他の領域
あるいは学会へのなんらかの犠牲のうえに立った、いわば特定の領域だけが利益を受
けるような改制を望むものではありません。更にこの問題は、心理学全領域の中で「
心理学はいかにあるべきか」という議論を行うことから出発し、「臨床心理士」等の
資格問題もそうした議論の中から位置づけられていくことが望ましいと考えます。こ
うした議論がないまま唐突と思えるような今回の「認定協会」の提案のしかたには、
賛成いたしかねる側面があると思います。なお、「認定協会」の提案の大要は、別紙
に書かれたとおりです。初めての方もいらっしゃると思いますので、ぜひお読み下さ
い。私たちはこの提案に対して以下のような問題があると考えております。

(1)担当教員の臨床心理士資格取得者5名ないし4名(専任教員3名ないし2名
)を必要としていることについて。
 この要件(要求される人員数)は、現状の多くの大学(院)の心理学担当者が多く
ても10名前後(大学院担当者はさらに少なくなります)であることを考えますと、
あまりにも多いと言わなければなりません。このまま、各大学(院)でこの要件を満
たした場合、心理学の方向が臨床心理学へと大きく変わっていくことになります。
申すまでもなく、心理学には、多くの領域があります。もちろん臨床心理学もその一
つであり、私たちは、その存在意義や重要性を認めるものです。しかし、この提案
は、
各大学(院)での臨床心理学以外の領域に影響を与え、いくつかの領域では人員や科
目の縮小あるいは削減の可能性がでてきます。言葉を代えれば、臨床心理学以外の領
域を心理学の世界から追いやる結果を生むことになります。さらにこの改制は、臨床
心理士の大学(院)での職場確保に役立つにすぎないという側面ももっています。
したがって、結果としてこの提案は大学が保証されている人事権への介入をも意味す
るものと言わざるをえません。

(2)内規決定までの手続きについて
 次に、提案(大学院指定運用内規)の承認と決定までの手続きの問題があります。
この提案を少なくも私たちが知ったのは、つい2ヶ月ほど前のことです。私たちが
不勉強であったと言われればそれまでですが、側聞する限りにおいては、私たちばか
りでなく、多くの心理学関係者はこの提案を知らされることのないままにきている面
もあるようです。「認定協会」は、各大学院の研究科長や専攻主任教授に本年2月7
日付けという入試業務等で大学にとっては多忙な時期にこの提案の承認の打診を行っ
ています。そしてその2ヶ月弱の後(4月1日)に提案の発効というのでは、事実上
一般の意見を聴取することなく決定してしまったというに等しいと思います。しかも
、本年9月1日に各大学院から「認定協会」への申請の受付が始まるというように議
論が十分でないまま、既成事実のごとく進行しようとしています。私たちの提案は、
遅きに失した感もありますが、このまま黙って見過ごすわけにはいかないと考えます
。この問題は、単に「認定協会」や臨床心理学関係者のみで決定されていいものでは
なく、多くの心理学関係者によって議論されるべき問題だと考えます。

この表明にご賛同頂き、関係諸機関で議論を広げていただければ幸いです。また、
現在準備段階ではありますが、本会へご参加をいただければ、本会にとっても大き
な力になることを確信いたします。本会では、多くの方に賛同いただければ、今後「
認定協会」に対して問題を提起し改善を求めていくことも考えております。ぜひこの
機会に多くの心理学関係者に「認定協会」の提案を知っていただき、議論を深めてい
ただければと標記の会を発足させる次第であります。皆様の積極的な議論と本会への
ご参加をお待ち申し上げております。  
 なお、当分の間、準備会の事務局は、早稲田大学人間科学部(所沢キャンパス)
青柳研究室に置きます。ご参加の意志等の連絡は、なるべくE-メールでお送りくださ
れば幸いです(連絡先明記)。もちろん電話、FAX、手紙での連絡でもかまいません。
下記宛にお願いいたします。

E-MAIL Address : aoyagi (at) human.waseda.ac.jp
事務局住所 :埼玉県所沢市三ヶ島 2ー579ー15
       早稲田大学 人間科学部 青柳研究室内
       「認定協会」の大学院指定制を考える会設立準備会事務局
事務局電話  :0429-47-6741(ダイヤルイン)
       不在の時はメッセージをお残しください。
Fax : 0429-47-6806
            (共用のFaxですので、メッセージの頭に「青柳宛」とお書きくださ
い)。

青柳肇、川上清文、杉山憲司、田島信元、西野泰広、野島栄一郎、南徹弘、矢沢圭介
(早大)(聖心女大)(東洋大)(東外大)(文京大)(早大) (阪大)(立正大)
 

(参考資料)
 「臨床心理士」受験資格に関する大学院専攻課程(修士)の指定運用内規<抜粋>
の大要を述べれば、以下のとおりです。

 満たす用件により大学院を2種類に分類し、各大学院終了後1年ないし2年の臨
床経験後「臨床心理士」資格認定審査のための基礎受験資格に関する終了書を発行で
きるとしています。
満たす用件とは、

資格審査規定第8条第1号に該当する大学院(第1種)の場合、
(大学院終了後1年の臨床経験を要する)
(1)専攻課程の名称は、原則として臨床心理学(心理学・行動(科)学を含む)、
心理臨床学、発達臨床学、臨床教育学、のいずれかによる。

(2)担当教員は、「臨床心理士」の資格取得者5名以上で、かつ専任教員は、3名
以上とする。非常勤講師は、年単位で0.5名として換算できる。

(3)臨床心理実習を適切に行うことが可能な当該大学(院)付属心理・教育相談
室、または  これに準ずる施設を有すること。

(4)修士論文のテーマと内容は、臨床心理学に関するものであること。



資格審査規定第8条第2号に該当する大学院(第2種)の場合、
 (大学院終了後2年の臨床経験を要する)
(1)専攻課程の名称は、人間科学、人間関係学、教育学、児童学、社会学、発達科
学および健康科学のいずれかによる。

(2)担当教員は、「臨床心理士」の資格取得者4名以上で、かつ専任教員は、2名
以上とする。非常勤講師は、年単位で0.5名として換算できる。

(3)臨床心理実習を適切に行うことが可能な当該大学(院)付属心理・教育相談
室、または  これに準ずる施設を有すること。但し、「準ずる施設」とは、当該大学に
組織上直接編成されていない場合も考慮されることもある。

(4)修士論文のテーマと内容は、臨床心理学に関するものであること。

いずれの大学院においてもそれぞれが開講するカリキュラムは、臨床心理学または
その近接領域に関する授業科目24単位以上で構成されていること。但し、以下の4
種の授業科目と所定の単位は必須とする。
    臨床心理学特論・・・(4単位)
    臨床心理査定特論・・・(4単位)
    臨床心理面接(心理療法、カウンセリング)特論・・・(4単位)
    臨床心理実習・・・(4単位)
当該大学院の指定期間は、4年間とする。延長希望の場合は、更新手続きをとるも
のとする。


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