[fpr 460] Communications in FPR

南風原朝和

南風原@東大教育心理です。

教育心理学会総会(於:筑波大学)に出席された方,お疲れ様でした。

その総会の準備委員会企画シンポジウムのひとつに「教育心理学におけ
るインターネットの利用」というものがありました。fprの創設メン
バーのひとりであり,fprの管理運営をして下さっている松井孝雄さ
んからは「研究におけるメーリングリストの利用」というテーマで話題
提供があり,その中でfprの現状の紹介がありました。

11月2日現在でfprの参加者が235人いること,しかし,1回以
上発言した人は46人(全体の2割弱)しかおらず,発言数の多い上位
6人で全体の2/3の発言をしていて大きな偏りがあることが報告され
ました。

その偏りの原因として考えられることとして
(1)不特定多数の参加者を相手に発言することの不安
(2)議論の水準が高度になりすぎて,ついていけない
のふたつが挙げられました。

このうち(1)については「不特定」というのが,実名のリストを用意
するなどして「特定」にすることが改善になるのであれば,そうすべき
でしょうが,ネガティブな面はないのかという疑問も感じました。

(2)については発言の内容の他に発言の仕方にも問題があるのかも知
れません。一部の人だけが共有しているような情報が前提となる議論の
場合,できるだけそれを多くの人が共有できるような形で提供した上で
発言すべきでしょうね。私も気をつけたいと思います。

私自身は,このメーリングリストを通して,いろいろ考えたり,意見を
交換したりすることができ,また統計的方法についてはいわゆるユーザ
だけでなく,ユーザを教育する立場にいる人達(私もそうですが)にと
っても,誤解が正されたり,新たな発見があったりして,それが間接的
に多くのユーザに還元されるという面もあって,非常に有用だと思って
います。

ただ「心理学研究の基礎」というメーリングリストであることからする
と,統計解析に関する議論に偏っていて,研究計画の立て方や,研究パ
ラダイム等に関する議論が少ない点についてはやや不満があります。「
基礎的統計解析の誤用と対策」というワークショップをきっかけに創設
されたことからすれば,この現状も理解できますが,心理学研究に関す
るより広範な意見交換を期待したいと思います。

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