Takashi Tsuzuki <tsuzuki (at) rikkyo.ac.jp> さんは書きました: >立教大学の都築という者です。このニュースグループは豊田先生から教えてもらい >ました。私の専門は、実験心理学・心理言語学で、現在、UCSCに滞在しています。 > >今回は、項目分析について情報を得たいと思い、発言させていただきます。 > >先週、高名な心理言語学者と米国最大規模の心理言語学の大会の1つでもある >Psychonomic Societyの大会でかなり長い時間話す機会がありました。そこで、 >その心理言語学者が、通常のANOVA(F1)では有意差が出ても、被験者数を無視し、 >刺激項目の数だけに基づく項目分析のANOVA(F2)では有意差が出難く、雑誌論文 >の審査に通らないとぼやいていました。彼によれば、Clark(1973)の論文以来、 >欧米の心理言語学の学会誌では、上記のF1とF2がともに有意にならない限り、 >審査に通らないとのことでした。日本では、この方法はまだそれほど一般的で >はないと思うのですが、もし項目分析についてよくご存知の方がいらっしゃいま >したら、情報を教えてください。(もうこのニュースグループでは討論された問題 >かもしれません。) > この話は、私も友人の言語心理学者から聞いたことがあります。実際、Journal of Psycholinguistics などの雑誌では、この基準が厳格に適用されているようです。 しかし、 JEP や Journal of Memory and Language などでは、それほど一般的ではな いようです。記憶や認知の研究で言語材料を作るとき、何らかのプール(母集団)から無 作為に項目を抽出するなどということは現実にはあまりなされてなくて、研究者が任意に 選んでくる(あるいは作成する)のが普通なのではないでしょうか。その場合には言語料 は固定変数と考えるべきで、それを無作為(ランダム)変数として分散分析をするのは無 理があるような気がしないでもないのですが、どうなのでしょうか? ちなみに、日本心 理学会の編集会議では、まだこの問題が議論されたことはないようです。 ついでに、生理心理の領域では、対応のある要因を含む実験計画の分散分析の場合、分散 ・共分散の等質性が保証されていないと検定結果がゆがむ危険性があるので(今年の日教 心の自主シンポで愛知学院大の千野先生が詳しく解説してくださいました)、自由度の修 正をしないと審査に通らないという「ボヤキ」を友人の生理心理学者から聞いたことがあ ります。日本心理学会の編集会議では、この問題もまだ議論されたことはないようです。 ********************************************** 森 敏 昭 Toshiaki Mori 広島大学教育学部 Department of Psychology Tel:0824-24-6764 Faculty of Education Fax:0824-22-7111 Hiroshima University E-mail:tosmori (at) ipc.hiroshima-u.ac.jp :GHC03716 (at) niftyserve.or.jp http://sinri.educ.hiroshima-u.ac.jp/~mori/ **********************************************
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