[fpr 479] CALIS

豊田秀樹

豊田@立教社会です

Sachi Mizobuchi <buchiko (at) mickey.slab.ntt.jp> さんは書きました:
>はじめまして、NTTソフトウェア研究所の溝渕と申します。
>サイバースペースにおけるヒューマンコミュニケーションの研究をしております。

サイバースペースにおけるコミュニケーションの心理的特性には面白い話題が
たくさんあるので,これからどんどん研究が進むでしょうね.

>先日「チャットに関するオンラインアンケート」
>(http://web.slim.imnet.ad.jp/~buchiko)を実施し、そのデータをSASで解析
>しようとしているのですが、分からないことが多く、ほとほと困っております。

拝見しました.以下のデータは「経験があって現在も時々/たくさんする方」
のものですね.

>obsavation数は99です。「チャットを利用する目的」についての13項
>目の質問(該当すれば1、そうでなければ 0のデータ)を因子分析し、5つの
>因子を得ました。(プロマックス回転、因子間相関は見られず。)

2値データに因子分析するのはあまり望ましくないのですが,探索的に
変数を分類することが目的ならば,あまり神経質にならなくてもいいと
おもいます(ペーパーの表にはでないでしょうから)
obsavation数は99というのは少ないですよ.今後増えるのでしょうか?
また増えても,比率を調べて(proc freq)大きすぎたり小さすぎたり
する変数は除いた方がいいですよ.


>1)ある変数群から導き出された因子と、別の変数との相関、というのは、調
>べられるのでしょうか?こういうとき、共分散構造分析を使ってもよいのでしょ
>うか?

はい.ジャストの方法です.でもお手持ちのデータに共分散構造分析をするの
であればLISRELとかEQSとかLISCOMPとかのカテゴリカル処理のできる
ソフトを利用すべきです.SASとちがって買い取りで値段も5分の1なので
そんなに高いものではないのですから,購入しても良いと思います.
あるいは,CALISの著者のハートマン氏も,現在,カテゴリカル
処理と多母集団の扱いが可能になるように奮闘しているようですから.
それを待つか(いつまで待つかは保証ないですけど)というところでしょう
それも嫌だ!という場合には中村さんが提案しているように「似た変数の和
を計算して新たな変数を作り,使用する」のは簡単・確実な方法でお勧めです.
以下,カテゴリカル処理をした場合を想定して回答します.

>2)各因子ごとに、
> 外生変数(利用目的)→オープンコミュニケーション因子→オープン傾向→
>外生変数(参加者、参加人数に対する意識、マルチアクセス)
> というPLSモデルを作って計算してみたのですが、「固有値が0になる」と
>いうwarning が出て、

これは問題無しです.PLSだからです.

>因果係数が1を越えたりして、

これも数理的にはたぶん問題無しです.もっと詳しい情報があるといいので
すが,多くの場合
> Fxopen = G_11 pur5 + G_12 pur10 + G_13 pur2 + G_14 pur11 + D1,
の行のどこかで,標準化した解が1を超えるのでしょう.そうなら
多重共線が生じているのです.係数は不安定ですが,構成概念そのものは
安定してます.前処理の因子分析の結果が良好である程,生じる現象です
めったにありませんが,もし
> Fxotend = 1.00 Fxopen + D2
の1.00の部分の標準化解が1を超えるのであればD2の分散が負になっている
証拠で,これは不適解といいます.モデルとデータの適合が悪く,数理的に
問題があります.

#質問なさるときは,もう少し情報を多くしてくださると,答え易くなります.
#情報が少ないと,レスポンスする側が上記のようにあれこれ場合分けしなくては
#ならなくなるからです.解が載っていれば推理する必要ないですから

それからプログラムの内容ですが,潜在変数の数と比べて目的変数側の
変数の内容が多彩過ぎるとおもいます.このモデルの解釈の中心は
 Fxotend = 1.00 Fxopen + D2
の1.00の部分の標準化解ですから,目的変数側内容が多彩だと値は低くなります.
たとえば
>proc calis data=qdata edf=98 gtol=0.00001 all nomod cov ;
>TITLE  'モデルA' ;
>LINEQS
> Fxopen = G_11 pur5 + G_12 pur10 + G_13 pur2 + G_14 pur11 + D1,
> Fxotend = 1.00 Fxopen + D2,
> new1 = 1.00 Fxotend + E1,
> new2 = L_11 Fxotend + E2,
> new3 = L_12 Fxotend + E3,
> STD
> E1 - E3 = DEL1 - DEL3,
> D1 D2 = 0.00  PSI2;
>RUN;
とすれば,内容的に妥当な変数であればうまく行くと思います.

----------------------------------------------------------------------
Hideki TOYODA Ph.D., Associate Professor,      Department of Sociology
TEL +81-3-3985-2321 FAX +81-3-3985-2833, Rikkyo (St.Paul's) University
toyoda (at) rikkyo.ac.jp  3-34-1 Nishi-Ikebukuro Toshima-ku Tokyo 171 Japan                                  
----------------------------------------------------------------------

スレッド表示 著者別表示 日付順表示 トップページ

ここは心理学研究の基礎メーリングリストに投稿された過去の記事を掲載しているページです。