南風原@東大教育心理です。 豊田さん@立教社会が [fpr 482] で,私の [fpr 452] の発言について以下 のように書いています。 >> Tomokazu Haebara <haebara (at) educhan.p.u-tokyo.ac.jp> さんは書きました: >> >> >たとえば,1要因の効果の分析ですと, >> > y=μ+αj+εij >> >というモデルになりますが,ここで条件と被験者との交互作用があると考 >> >えるならば,αjは被験者母集団における平均的な効果の大きさとなり,で >> >は「母集団」は何なのか,どんな集団における平均的効果なのか,という >> >問題が出てきます。 >> > >> >これに対し,条件jの効果が,どの被験者においてもαjだけあると考える >> >と,この問題は回避されます。μという母集団平均を表す項はありますが, >> >そのμからの被験者iの(全条件を平均した)偏差をβiとし,εijを >> >βi+γijのように分解すれば, >> > y=μ+αj+εij >> > =μ+αj+βi+γij >> >となり,μ+βiが被験者iの全条件にわたる期待値となります。これを >> >μiとしてモデルを整理すれば >> > y=μi+αj+γij >> >となって,被験者母集団における平均というもの,そして母集団なる集団 >> >を考えることなくモデルの各項を解釈・説明することができます。(だか >> >ら効果は一定と考えましょう,ということではありません。念のため。) >> >> これは「単純無作為実験」と「ブロック実験」の相違を解説していると >> 解釈して良いのでしょうか? 「単純無作為実験」と「ブロック実験」の相違ではなく,条件の効果の一般性 (または一様性)について,条件と被験者の交互作用がある場合(nonadditive な場合)と交互作用がない場合(additiveな場合)の相違について書いたつも りです。この区別は「ブロック実験」(被験者内要因に関する実験)において 議論されるのが普通ですが,上記の発言では主として「単純無作為実験」の場 合について,効果の一般性と母集団の問題について考えたことを述べました。 概念的な議論であり,後半のモデルのパラメタのすべてが「単純無作為実験」 から推定可能というわけではありません。 読み返してみると後半部分にある「(全条件を平均した)偏差」とか「全条件 にわたる期待値」という表現が「ブロック実験」を前提としたような表現にな っていて,その部分は適当でなかったと思います。そこでは観測値ではなくパ ラメタのことだということを言いたかったのです。 :==============================================: : 〒113 東京都文京区本郷7-3-1 東京大学教育学部 : : 南風原朝和 haebara (at) educhan.p.u-tokyo.ac.jp : : TEL:03-5802-3350(直) FAX:03-3813-8807(共): :==============================================:
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