鈴木@日経リサーチです 9月の日心WSの話題を今頃出すのは気がひけますが、あまりの盛況で質問 時間もない程で驚きました。感想もあったのですが、そのあと総選挙に突入し て予測作業に没頭(今は楽しい検証作業中でわくわく)でした。WSでは主成 分分析 vs 因子分析という格好になってしまったのがいささか残念でした。主 因子法より最小2乗法という(服部さんの)議論は納得であります。 さて当日質問できなかったことです。主成分法と違って、ULSではデータか ら「推定」した因子得点は完全には直交しない。分散は、回帰推定法なら重相 関係数の2乗。 ところで最尤法による初期解では、因子得点が完全に直交する(ところが Varimax 回転後の因子得点はやはり直交しない)。最尤法の一般的なアルゴリ ズムでは、そうなるような制約などを課しているのでしょうか?。 SASのアルゴリズムは minor details を除いてほぼ Fuller ( 1981, pers. comm.) によっています。知らない文献だなあ、と思ったら、Fuller, W.A.( January 29, 1981) Letter to W.S.Sarle. という私信!。 Sarle は初期の Factor 開発者で、現在の因子分析の責任者は Hartmann( Calis 開発者)ですが、MLのアルゴリズムの変更はしていないと思います。 ちなみにキッカケは因子分析の例として有名(?)らしい、ニワトリの骨の データ( Wright(1954), Dunn(1928) )です。ジョンソン&ウイッチャン「多変 量解析の徹底研究」(現代数学社)p.485 で因子得点の不安定さの例示として 使われているのですが、これ( Dunn )が実はMLでの3因子モデルは不適解なの に、それには触れずに第3因子得点の不安定性としてだけ示している。豊田 ( 1992)の p.156 では探索的因子分析の例データ( Wright )として使われいます が、なぜか ML でなく ULS。たぶん ML では不適解だったからだろうと推察い たしました。
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