鈴木@日経リサーチです。 市川さん@東京外国語大学: >因子得点の件について. 明快な説明ありがとうございました。柳井他(1990)の第3章が斜め読みであ ったことがバレてしまって、恥ずかしいですが。ありがとうございました。 全然違う話を続けてしまいます。fprにふさわしいか判断しかねるのですが、 いま選挙予測調査のデータ解析をしていて、日に日に確信が深まることがあり、 思い切って出します。御意見などいただければ幸いです。 母集団と標本のことですが、我々の選挙調査に統計学者からくる批判は2つ です。(1)母集団は有権者なので、抽出リストに有権者名簿を使うのが理論 的に正しく、電話帳からのサンプリングはいけない。(2)回収率60%はお そまつである(80%回収すべき、せめて70%)。 一見、反論の余地がない。しかしデータ解析をしていて、データが示すこと は違う、というのが私の印象です。我々は10年前から電話調査を始めました。 驚くほどうまく予測できます。予測調査の母集団は「有権者」ではなく「投票 者」だ、というのが私の感想です。そして、電話帳に掲載しない人は投票に行 かないのではないか、という仮説はデータから検証可能ではないかと想像して います。また、数億円の調査予算をかけて大マスコミがしつこく回答を求めて なお回答拒否する人も投票に行かない人ではないか、とさえ感じます。電話帳 掲載の有無に関する知見は公表されることなく社内に蓄積されますが、社会心 理学的(?)には面白い属性かも知れません。 たとえば小選挙区で、当選確率が95%以上と計算された(この確率はブー トストラップ法で計算したので標本誤差しか含まれていませんが)候補のうち、 95%が当選したという結果をみて、この絵にかいたような(教科書にかいた ような)結果に、何度もなんども驚き、感激し、理論が、あとから現実を教え る時の恐るべき美しさに見とれてしまいます。残りの候補はどうかというと、 統計学の主張は「これだけの証拠からはなんともいえない」ということでしょ うから、当るも八卦云々で半々か?。そして結果は・・・。
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