豊田@立教社会です Takuro Tomita <tomitat (at) marinet.or.jp> さんは書きました: >> (3)斜交プロクラステス解 >> Variance explained by each factor eliminating other factors >> FACTOR1 FACTOR2 FACTOR3 >> 0.703403 0.856010 1.138759 (合計は 2.698172) >> Variance explained by each factor ignoring other factors >> FACTOR1 FACTOR2 FACTOR3 >> 1.192120 1.651614 1.470218 (合計は 4.313952) >> (3)の上の結果は,Reference structure (Semipartial >> Correlations) の行列の縦の二乗和で,他の因子の影響を除いた >> (eliminating other factors) ときの「寄与」を表しています。 >> (3)の下の結果は,Factor structure (Correlations) の >> 行列の縦の二乗和で,他の因子を無視した (ignoring other >> factors) ときの「寄与」を表しています。 > >通常,斜交解で私たちが「寄与」という場合は >上と下とで,どちらを使えばよいのでしょうか? 直交解では「寄与」を「当該因子の全観測変数に対する『独自の』説明分散」と解釈 しても「当該因子の全観測変数に対する説明分散」と解釈しても,両者は一致します から,因子寄与は1種類で区別なしです.しかし斜交解の場合は一致しませんので前 者の意味では「上」後者の意味では「下」です.いずれにせよ常に留意すべきこと は,全部の因子(この場合3つ)の全観測変数に対する「累積寄与」は(合計は4.31 3952や2.698172だけれども)3.442289 で直交解と同じということです. 「どちらを使えばよいのでしょうか?」という質問は,上記の性質を踏まえた後は, 趣味と慣例と紙数の問題となり,数理的な正解はなくなります.が,私は「他の人は どお考えているのだろう」とずっと思っていました.以下,私の趣味を書きますので 批評・反論をお待ちします.選択肢は以下の4つとします 1.「上」「下」両方 2.「上」のみ 3.「下」のみ 4.書かない まず「下」のみは,1つのやり方であると思います.各因子の観測変数に対する影響 力を素直に表現しています.因子間相関との解釈の組み合わせも良好です.それに対 して「上」のみというのは適切でないと思います.「上」「下」両方という総動員主 義を採用すると,上下の情報を総合して,たとえば「第2因子は他の因子との冗長度 が高い.第3因子は他の因子と異なる内容である」のような解釈ができます. この4つの選択肢のうち,多くの場合私は4番の「書かない」流儀です.因子の数が少 ない(5から6位?)ときは,「上」「下」の情報を総合するより因子間相関を解釈 した方が細かな解釈ができるからです.ここでも > FACTOR1 FACTOR2 FACTOR3 >FACTOR1 1.00000 0.43696 0.05968 >FACTOR2 0.43696 1.00000 0.33901 >FACTOR3 0.05968 0.33901 1.00000 を観察すると上記の解釈に加えて「特に第1因子と第3因子が内容的に異なるのだ」 ということが明快に解ります.「他の因子」とまとめていないからです.学生・院 生には「斜交解にすると累積寄与が大きくなる」と思っている人もけっこういて, 斜交解が流布しつつある今日,誤解されたくないという気持ちもあります.でも観 測変数の数が多い場合は「下」を加え,因子の数も多い場合は「上」も加える ことが,今後あるかもしれません.いずれにしても,累積寄与の問題は先手をうっ て宣伝する必要がある気がします. 「思う」とか「気がする」という語尾が多くて歯切れの悪い記事になりましたが,他 の方のご意見をお願いします. ---------------------------------------------------------------------- Hideki TOYODA Ph.D., Associate Professor, Department of Sociology TEL +81-3-3985-2321 FAX +81-3-3985-2833, Rikkyo (St.Paul's) University toyoda (at) rikkyo.ac.jp 3-34-1 Nishi-Ikebukuro Toshima-ku Tokyo 171 Japan ----------------------------------------------------------------------
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