[fpr 512] 直交解と相関

南風原朝和

南風原@東大教育心理です。

富田さん@早大大学院が以下のように書いています。[fpr 511]
 
 >> 実はある論文で直交解で算出された因子毎の項目の合計得点
 >> を単純相関にかけている論文を拝見しました.
 >> 
 >> 因子間相関は斜交解で算出されるので,直交解では無相関の
 >> はず・・・と素人考えで思ってしまいました.
 >> 
 >> しかし,実際は.30〜.50程度の相関がありました.
 >> 
 >> 因子間相関と,各因子に属する項目の合計得点の相関の
 >> 数理的違いをお教えいただきたく,投稿いたします.

以前に,[fpr 156] の松田さんの記事をきっかけに [fpr 194] の堀さん
の記事あたりまで,このテーマについてかなりやりとりがありましたの
で,詳細はそちらをご覧ください。

ちなみに [fpr 495] の12項目のデータについて,バリマックス解に基
づいて構成した3つの合計得点(それぞれ3〜4項目の合計)と,因子得
点の(最小二乗法による)推定値との相関係数は以下のようになりました。

          TOTAL1    TOTAL2    TOTAL3   FACTOR1   FACTOR2   FACTOR3

 TOTAL1  1.00000  -0.41058  -0.05880   0.95189  -0.29834  -0.00565
 TOTAL2 -0.41058   1.00000   0.07456  -0.41727   0.93697  -0.05275
 TOTAL3 -0.05880   0.07456   1.00000  -0.03728   0.18571   0.94144

FACTOR1  0.95189  -0.41727  -0.03728   1.00000  -0.25869  -0.00869
FACTOR2 -0.29834   0.93697   0.18571  -0.25869   1.00000   0.06432
FACTOR3 -0.00565  -0.05275   0.94144  -0.00869   0.06432   1.00000

なお,因子分析のモデル上は,任意のt項目の合計得点と任意の因子との
相関係数は,それらt個の項目とその因子との相関(因子構造)の総和を
t項目の合計得点の標準偏差で除した値に等しくなるはずです。

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