[fpr 552] Observed Power

南風原朝和

南風原@東大教育心理です。

堀さん,豊田さん,[fpr 118] (1995年11月16日)へのコメントありがとうござい
ました。とりあえず,計算に関することだけ補足しておきます。

 >> 堀@香川大学経済学部です。
 >> 
 >> 南風原さんの続き、
 >> -----------------------------------------------------------------------
 >> たとえば,簡単のためにt検定を例にとって,有意水準 .05 の両側検定で
 >> p=.05 となるときの Observed Power を計算してみると,下に示す表のよう
 >> にほぼ .50 という値になります。つまり,ぎりぎり有意になるようなデータで
 >> は,Observed Power という指標は常に,ほぼ 1/2 になるということです。
 >> ------------------------------------------------------------------------
 >> このあたりはよくわからないし、今もわかっていません。


 >> 豊田@立教社会
 >> 
 >> p<.05 で有意になるときは,確かに
 >> Observed Power>.50という性質は変わりませんが.標本数が多いときは
 >> Sig of Fがpを少し下回っただけでも,Observed Powerはぐっと大きくなります.
 >> 逆に標本数が少ないときは,Sig of Fがpを同じだけ下回っても,Observed Power
 >> はあまり大きくならないでしょう.このように変化の程度の性質に対する定性的な
 >> 直感は働きますが,具体的な数値までは直感は及ばないので数理的には冗長でも
 >> 出力してくれると有り難いのではないでしょうか.


両側検定は棄却域が2つに分かれていて検定力(検出力)の計算が少し面倒なので,
5%水準の片側検定のt検定を考えることにします。このとき,得られるp値に対応
した Observed Power は,SASプログラムなら次のようにすれば求まります。 

 data;
   p=.10;                         /* 得られたp値       */
   do df=8 to 98 by 10;           /* 自由度             */
     t_crit=tinv(.95,df);         /* 棄却の限界値       */
     t_obs=tinv(1-p,df);          /* 得られたt値       */
     nc=t_obs;                    /* 非心t分布の非心度 */
     power=1-probt(t_crit,df,nc); /* Observed Power     */
     n=df/2+1;                    /* 各群のN      */
   output;
   end;
 proc print;
   var n power;
   run;

このプログラムの p=.10 の所をいろいろ変えて計算してみると,次のような結果
が得られます。

    ---------------------------------------------
      各群のN   p=.10       p=.05       p=.01 
    ---------------------------------------------
          5     0.35713     0.52198     0.84012
         10     0.35774     0.50941     0.79096
         15     0.35791     0.50598     0.77696
         20     0.35798     0.50438     0.77038
         25     0.35803     0.50346     0.76656
         30     0.35806     0.50286     0.76407
         35     0.35808     0.50243     0.76232
         40     0.35809     0.50212     0.76102
         45     0.35810     0.50188     0.76001
         50     0.35811     0.50168     0.75921
    ---------------------------------------------

このように,Nにほとんど関係なく,p値によって Observed Power がほぼ決まる
ことが分かります。つまり,有意になれば検定力が高かった,有意にならなければ
検定力が低かった,という話です。

 #上記の豊田さんの5行目,6行目のpはαのことですよね。

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