岡本@金沢大学文学部(数理心理学)です。 堀さん@香川大学経済学部は書きました: >その前から読めば、主眼は有意差がない場合とわかりますが、有意 >差があっても些細な差であるか小さな差か中程度の差か大きな差か >などを考えます。 区間推定なら、0も含めて、どの程度の差であるのかが示されます。 サンプル数は、区間の幅に反映されます。 いずれにせよ、差が些細であるかどうかの価値判断は統計学の問題ではなく、 それを使う側、例えば実験心理学、の方の問題です。 有意差が検出できるかどうか(有意水準、powerなどの問題)は統計学の 問題であり、統計学的な情報からどういう判断をするか(差がない、 あるいは些細である、もしくは考慮するべき差がある、という判断)は 実証的な心理学の方の問題です。 「検定力云々は問題にされない」は、統計学的に有意な差が検出できた 場合だからということです。 私の場合、検定力は実験の前にチェックするのが現実的と考えます。 予備実験で予め差の大きさなどの検討を付けておいてから、その差を ほぼ確実に有意差として検出するためには、サンプル数は最低どれくらいで なければならないか、などを調べます。1000以上とか、実行不可能と 思われる数になるときは、実験心理学の理論上意味のある差であっても それを実証的に示すことは不可能となります。 もっとも、私の場合は、t検定とかの伝統的な統計量で分析している わけではありませんので、検定力の算出という方法より、適当に現象の モデル構成を行ってから、シミュレーションで検討しておりますが。 例えば、尺度構成の場合、刺激数と評定数をシミュレーションで 決めたりしてきました。 岡本安晴 C00279 (at) sinet.ad.jp
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