[fpr 620] 名前余話

久保田新

突然ですが、仕事の合間にfprを眺めていたら、

>  エフロンがたぶん子供の頃から親しんだ『ほらふき男爵』の話がリサンプリ
> ングにブートストラップを連想するのも納得.自分のはいているブーツを自分
> でつまんで,自分自身を持ち上げるという,まことしやかな「ホラ」が,自分
> 自身(標本観測データ)だけから,自分自身を無限に再生する(復元抽出)こ
> とで母集団分布を推定する不思議さと馴染んでいます.

という話が目に飛び込みました。こういう自分で自分を、という話、とても好き
なのです。例えば、再帰関数とか、果ては、神経症をneurotic recursionなんて
呼んでいるくらいです。ところで、上のミュンヒハンゼン男爵の話、映画になった
ものを見て(繰り返し、見て)大変面白いと思っていました。人に聞けばケストナー
にある、と言われて調べてみると、私が見つけられたものはとても簡単な内容で
した(従って、鈍器惚手なみの長さの本を期待していた私には完全に欲求不満)。

詳しい書誌情報を教えていただければ幸いです(これまた、このMLには........
ということかもしれませんが)。

>  ところが,このドイツで生れ,イギリスで育った妙な作品はラスペ本(英)
> とビュルガー本(独)があり,後者を訳した岩波文庫を読んでも,ブートスト
> ラップが出てこない.エフロンはラスペ本を読んだはずですが,英語の『ほら
> ふき男爵』を読めば,ブートストラップをつかんで池の底から這い上がる話が
> 出ているんでしょうか?.どなたか読んだ方いますか?.岩波文庫では,似た
> 話として,自分の髪をつかんで沼から自分を引き上げる話,しかありません.

映画では、鯨もどきの海獣の胃袋(?)から逃げ出した後で、馬に乗ったまま
海に沈みかけ、そこで、自分の髪をつかんで馬ごと海から出てくるという顛末
でした。Bootstrapの話は映画には無いようでした。関係ないけど、透明人間は
目も透明なので(屈折させない)目が見えない、という話がありました。

ところで、佐藤さんの原題に戻ると、八木アンテナは出てましたが、

  江崎ダイオード、公文式(ちゃんとアメリカで関心をもたれている)

なんていうのもありますね。YG(これは日本版というほどの意味でしょうね)。

昔、毛布の便利な畳みかたにも人名がついていると教わったことがありました。
日本人じゃなければ、Turing machineとか、ロールシャッハテスト、モンテ
カルロ法(これは地名か)、マンデルブロ集合、いずれも、その人の創意と、
過去の概念では名状しがたいような場合に使われるのでしょうか。

名状しがたい、という点では

  中曽根ドクトリン、ニクソン・ショック、ピーターパン・シンドロム

てのもありましたっけ。体操では、山下跳び、トカチェフ、スケートではビールマン・
スピン。

  ああ、そうそう痴呆の長谷川式スケール。

日本でも、個人名でなく組織名や地名を冠したのは結構あるのではないで
しょうか。焼き物や織物、名産はもちろん、

  東大式エゴグラム

ってのは該当するでしょうか。「式」がついてはいけない?日本ではそういう
とき、助詞ではないが「式」「型」ってのが付いてしまいますね。「流」がつくのも
あるのかも、例えば

  小笠原流、観世流

など。中国だと「的」がつく?

武将の名前の付いたものもあったような気がします。

ちょっと奇態なところでは、「でばがめ」が出っ歯の亀なにがしさんからの命名
だそうです。植物では

  定家葛

とか、確か日本独特の色の名前にも人名がついたものがあったと思います。例えば

 利休鼠

とか。真知子巻きってのは該当しますか。髪を押さえるカチューシャの語源は
何でしょう。秋田小町っていうように後にくっついているのもあるのかもしれません。
今太閤。

他にも結構ありそうですが、時計がチクタクいう音が気になり始めたのでこの辺で
失礼します。あまり学問的な話題提供ではありませんでした。




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