南風原@東大教育心理です。 非心F分布の非心度λの推定法について,非心F分布の期待値に 注目した方法が狩野さんから紹介されましたが,負値をとる可能 性がかなり高いという難点がありました。 そこで,期待値(平均)ではなく,中央値に注目した推定を考え てみました。あるF値が得られたとき,その値を中央値とする非 心F分布(の非心度λ)を見つけるのです。 非心度λの非心F分布の中央値をFm(λ)とすると,この分布 のもとではF>Fm(λ)となる確率がちょうど50%になります。 一方,得られたF値を中央値とする非心F分布の非心度をλm と し,それをλの推定量とすると,F=Fm(λ)のときはλm=λ となり,F>Fm(λ)のときはλm>λとなります。その過大推 定の確率は50%ですから,λm はいわゆる「中央値不偏性( median unbiasedness)」をもつことになります。 この中央値不偏推定量λm は,SASの関数 FNONCT(F_obs,df1,df2,.5) で簡単に求められます。 この推定量は,同じ自由度をもつ非心度ゼロのF分布の中央値よ り大きなF値に対しては必ず正値となり,期待値に注目した方法 に比べ負になる可能性が激減し,大変都合のよい推定量のように 思われます。また,正値とならない場合に推定値をゼロと置き換 えることにしても中央値不偏性は保たれます。 なお,ぎりぎり有意な結果に対応する Observed Power は,この推 定量を用いれば,当然のことながらちょうど50%となります。 :==============================================: : 南風原朝和 haebara (at) educhan.p.u-tokyo.ac.jp : : 〒113 東京都文京区本郷7-3-1 東京大学教育学部 : : TEL:03-5802-3350(直) FAX:03-3813-8807(共): :==============================================:
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