[fpr 626] Effect Size

南風原朝和

南風原@東大教育心理です。

非心F分布の非心度λの推定法について,非心F分布の期待値に
注目した方法が狩野さんから紹介されましたが,負値をとる可能
性がかなり高いという難点がありました。

そこで,期待値(平均)ではなく,中央値に注目した推定を考え
てみました。あるF値が得られたとき,その値を中央値とする非
心F分布(の非心度λ)を見つけるのです。

非心度λの非心F分布の中央値をFm(λ)とすると,この分布
のもとではF>Fm(λ)となる確率がちょうど50%になります。
一方,得られたF値を中央値とする非心F分布の非心度をλm と
し,それをλの推定量とすると,F=Fm(λ)のときはλm=λ
となり,F>Fm(λ)のときはλm>λとなります。その過大推
定の確率は50%ですから,λm はいわゆる「中央値不偏性(
median unbiasedness)」をもつことになります。

この中央値不偏推定量λm は,SASの関数 
    FNONCT(F_obs,df1,df2,.5)
で簡単に求められます。

この推定量は,同じ自由度をもつ非心度ゼロのF分布の中央値よ
り大きなF値に対しては必ず正値となり,期待値に注目した方法
に比べ負になる可能性が激減し,大変都合のよい推定量のように
思われます。また,正値とならない場合に推定値をゼロと置き換
えることにしても中央値不偏性は保たれます。

なお,ぎりぎり有意な結果に対応する Observed Power は,この推
定量を用いれば,当然のことながらちょうど50%となります。

:==============================================:
: 南風原朝和 haebara (at) educhan.p.u-tokyo.ac.jp :
: 〒113 東京都文京区本郷7-3-1 東京大学教育学部 :
: TEL:03-5802-3350(直) FAX:03-3813-8807(共):
:==============================================:

スレッド表示 著者別表示 日付順表示 トップページ

ここは心理学研究の基礎メーリングリストに投稿された過去の記事を掲載しているページです。