[fpr 762] 直交解か斜交解か?

SUZUKI, Tokuhisa

鈴木@日経リサーチです

ISHIDA Tsubasa <tbs-i (at) cpsy.is.tohoku.ac.jp> さん
> でもって得られた因子を重回帰分析する,と言うのはどういう場合に必
>要なのか良く知りません(私は因子分析を使うタイプの分野の人ではない
>ので)が,私が知る限りでは因子得点を推定する際に行われる場合がある
>ようです.しかしそれは因子得点を逆算できない主因子解を用いるのが悪
>いのではないかと思います.主成分解だと逆行列から代数的に求められる
>ので,重回帰分析はする必要はなかったはずです(記憶曖昧).その他の
>解は良く知りません.

ここは「因子の重回帰」で2つの話が混在しているようですね。す
なわち(1)因子を説明変数にした重回帰(2)因子得点の推定の
ための重回帰。


それから、
>Takuro Tomita さん:
>> 「心理学的な質問紙は作成の際に,斜交解よりも
>>  直交解を使った方が,好ましい. 
>>  相関分析や重回帰を行う際に,斜交解だと望ましくない」

心理では「直交より斜交」かと思っていましたが、逆ですか。この
話は応用現場ではよくある話ですが、学術研究ではどうなっている
んでしょう。因子の仮定としては斜交が実質的であるけれど、目的
が偏回帰係数の解釈にある時には、技術的には直交が便利であると
いうジレンマですね、たぶん。本当かウソかという問題にはなり得
ないのではないでしょうか?。
ただ、この枠組みは直交か斜交かという以前に、過去のfprにおけ
る議論の1つとしては、因子を説明変数にするのは好ましくないと
いう見解が、豊田さんから示されました。理由の1つは因子得点を
回帰推定した時の回帰効果であり、解決の1つはSEMの枠組みに移
行することでした。
実は、因子得点の回帰効果が、どの程度、分析の目的に障害を与え
るのか個人的に興味があって、いくつかのデータで試してみたいと
考えていますが、ある種の目的にとっては、洗練されていないけれ
ど致命的に結論を間違えることもないのではないかと事前に「想
像」しています。実際にどうなのかは(?)。

ひとつ斜交がおもしろいと思うことがあります。これまた以前堀さ
んが指摘されていたと記憶しますが、そもそもかなり強い1因子性
のデータなのに回転してみると、なんとなく多因子に分類される。 
そういう回転の分析例は非常に多いのですが、そういうデータは斜
交してみると因子間相関が0.6〜0.8にもなると思います。そうなる
と仮定はともかく因子間相関を認めるか、2次因子モデルにするか、
回転をやめるか、考える機会を与えてくれます。初期解(回転前) 
の因子パタンを観察することと、斜交解の因子間相関を観察するこ
とは、案外大切なステップじゃあないかと私的に思っています。

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鈴木 督久 ( SUZUKI,Tokuhisa )      e-mail: stok (at) nikkei-r.co.jp
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