[fpr 765] 直交解か斜交解か?

繁桝算男

繁桝@東大.総合文化です.
直交解vs斜交解について、私は斜交派(社交派)です.
少くとも、構成概念に対応する因子を探る(探索的)、確かめる(確認的)、さらに、
因子間の因果関係を確かめる(共分散構造分析)という1連の流れでは、そうだと
思います.なにしろ、直交解ではそこでジエンドです.その理由は、
(1)目当ての構成概念が相関していないはずはない.
という単純な理由と、
(2)単純構造をより鮮明に達成できる.
ということです.グールドのmismeasure of manに、直交解の場合、因子軸が、
変数群の真ん中を通らないと言う説明がありますが、その意味です.
余談ですが、この本で、斜交解と2次因子の章で、どうも意味が通らないと
思ったところがあります.それで、原書を見て見るとどうも誤訳らしい.
サーストンこそ、ベクトルの幾何学的意味を理解している人物なのに、なぜ、
斜交解の意味、また、2次因子の意味を理解するのにてまどったのかという
原文の意味を訳書では反対のようになっています.
これは、wrestle with  ... so hardの訳が問題ではと思います.
別宮さんの著書等が御好きな人はお考え下さい.
さて、閑話休題.上記の話しは、サーストンが、あまりに、直交解にこだわったせいで、
先入観から、逃れられなかったと言う話ですが、それと同じようなことが
我々にもあるのではと主観的にそう思っています.
もちろん、因子の解釈に拘らず、情報の縮約の手段と考える場合には、直交座標系で
表されるだけ、直交解の方が良いかも知れません.
また、斜交解は実用的にも、尺度作りにも役立ちます.
また、因子得点を予測に使うと言う点では、昔、素データよりも、因子得点を
予測変数とした方が、予測が良かったと言う結果を出したことがあります.
通常の場合、因子の場合、多重共線性(マルティコ)は心配しなくても良いので、
素データの線形性よりも、測定誤差を取り除いた部分の線形性がモデルとして、
当てはまりが良かったのでしょうか.
とりあえず私の意見です.

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