[fpr 782] 制約の仕方

豊田秀樹

豊田@立教大学です

"SUZUKI, Tokuhisa" <stok (at) nikkei-r.co.jp> さんは書きました:
>鈴木@日経リサーチです
>
>単純な多重指標モデル:
>
>v1 <-- +----+     +----+ --> v3
>       | f1 | --> | f2 |
>v2 <-- +----+     +--- + --> v4
>
>を識別させるための制約の仕方(プログラムの指定法)として,
>
>(1)外生変数f1(ξ)の分散は推定すべき自由母数だけれど尺度不定だから
>φ=1と制約し,f2(η)の方は関数関係の制約は避けてλ=1とする.
>(2)それなら数学的には同じだからシンプルな約束事にして,いつでも各f
>の1個のλを1に固定することにして,f1(ξ)の分散は自由母数とする.
>
>の2通りがありますが,共分散構造分析が大衆化してくると(つまり本屋で買
>ってきた参考書を片手にデータ解析する人々が増えてくると),
>(3)各fの1個のλを1に,かつφ=1に固定する.
>というプログラムを書く初学者も出てきて,しかもソフトウエアは黙って違う
>標準解を出力する.(逆に,すべて自由母数として書いたりすると,自由度な
>どおかしなことになるが,多くのソフトウエアは警告程度はしつつ内部で制約
>しながら,標準解だけは正しく出力する).
>豊田さんの書かれた入門は一貫して(2)で,狩野さんの書かれた入門は一貫
>して(1)であると思います.ところで,(3)の場合は,数理的にはどうい
>う状況になってしまうのでしょうか.
>

(3)は間違いです.指標を1に固定した観測変数に対するf1からの説明分散は
((ラムダ)の2乗)かける(f1の分散)=1かける1=1
に固定されてしまいます.つまりその観測変数の分散が1.0の場合も100.0
の場合もf1からの説明分散は1.0になります.観測変数の分散が1.0以下なら
不適解が生じます.

難しいのは「すべて自由母数にする」(以下(4)と略記)パタンです.
これを数理的に完全にクリアし(自動的に正しい制約を入れてくれる),それを
マニュアルで保証しているのは現在ところスタティスティカ・シーパスだけ
だと思います.EQSもそれなりにやってくれそうですが,内部で何をやって
いるのかマニュアルの説明を探せていません.1つ前のバージョンのCALIS
は,制約せずに勝手にどこかの解に到達しておしまいにする,という古典的な
ものでした(今のバージョンは知りません).遠くない将来に,自動的に制約
をいれて(4)でよいソフトが主流になると思いますが,今は,マニュアルで
確実に保証しているもの以外は(1)(2)のどちらかで対処するのがよいで
しょう.

ソフト事情には詳しくないのでどなたかフォロー願えれば幸いです.

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TOYODA Hideki Ph.D., Associate Professor,     Department of Sociology
TEL +81-3-39852323 FAX +81-3-3985-2833,   Rikkyo(St.Paul's)University
toyoda (at) rikkyo.ac.jp 3-34-1 Nishi-Ikebukuro Toshima-ku Tokyo 171 Japan
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