豊田@立教大学です "SUZUKI, Tokuhisa" <stok (at) nikkei-r.co.jp> さんは書きました: >鈴木@日経リサーチです > >単純な多重指標モデル: > >v1 <-- +----+ +----+ --> v3 > | f1 | --> | f2 | >v2 <-- +----+ +--- + --> v4 > >を識別させるための制約の仕方(プログラムの指定法)として, > >(1)外生変数f1(ξ)の分散は推定すべき自由母数だけれど尺度不定だから >φ=1と制約し,f2(η)の方は関数関係の制約は避けてλ=1とする. >(2)それなら数学的には同じだからシンプルな約束事にして,いつでも各f >の1個のλを1に固定することにして,f1(ξ)の分散は自由母数とする. > >の2通りがありますが,共分散構造分析が大衆化してくると(つまり本屋で買 >ってきた参考書を片手にデータ解析する人々が増えてくると), >(3)各fの1個のλを1に,かつφ=1に固定する. >というプログラムを書く初学者も出てきて,しかもソフトウエアは黙って違う >標準解を出力する.(逆に,すべて自由母数として書いたりすると,自由度な >どおかしなことになるが,多くのソフトウエアは警告程度はしつつ内部で制約 >しながら,標準解だけは正しく出力する). >豊田さんの書かれた入門は一貫して(2)で,狩野さんの書かれた入門は一貫 >して(1)であると思います.ところで,(3)の場合は,数理的にはどうい >う状況になってしまうのでしょうか. > (3)は間違いです.指標を1に固定した観測変数に対するf1からの説明分散は ((ラムダ)の2乗)かける(f1の分散)=1かける1=1 に固定されてしまいます.つまりその観測変数の分散が1.0の場合も100.0 の場合もf1からの説明分散は1.0になります.観測変数の分散が1.0以下なら 不適解が生じます. 難しいのは「すべて自由母数にする」(以下(4)と略記)パタンです. これを数理的に完全にクリアし(自動的に正しい制約を入れてくれる),それを マニュアルで保証しているのは現在ところスタティスティカ・シーパスだけ だと思います.EQSもそれなりにやってくれそうですが,内部で何をやって いるのかマニュアルの説明を探せていません.1つ前のバージョンのCALIS は,制約せずに勝手にどこかの解に到達しておしまいにする,という古典的な ものでした(今のバージョンは知りません).遠くない将来に,自動的に制約 をいれて(4)でよいソフトが主流になると思いますが,今は,マニュアルで 確実に保証しているもの以外は(1)(2)のどちらかで対処するのがよいで しょう. ソフト事情には詳しくないのでどなたかフォロー願えれば幸いです. -- ---------------------------------------------------------------------- TOYODA Hideki Ph.D., Associate Professor, Department of Sociology TEL +81-3-39852323 FAX +81-3-3985-2833, Rikkyo(St.Paul's)University toyoda (at) rikkyo.ac.jp 3-34-1 Nishi-Ikebukuro Toshima-ku Tokyo 171 Japan ----------------------------------------------------------------------
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