南風原@東大教育心理です。東大野球部快勝の翌朝で,気分がいいです。 Sachi Mizobuchi さんが以下のように書いています。 >> 私が昔学校で習った標本誤差の算出法は、 >> >> σ/√N >> >> σ:母集団の分散の推定値 >> N:標本数 >> >> というものでしたが、これと上の式はどう関係しているのでしょう? 「標本誤差」という用語については,豊田さんから >> 標本誤差という言葉は,半分日常用語になっていて,定義がゆれています という指摘がありましたが,溝渕さんがご質問のメールの題名に使った sampling error の訳が標本誤差ですよね。つまり,母集団から限られた標本を抽出すること で生じる誤差ということです。視聴率の例では, 標本誤差 = 標本で得られた視聴率 − 母集団における視聴率 となります。 この標本誤差は,したがって母集団値が分からない限り,未知ということになりま すが,標本誤差が確率的にどう変動するかについては,モデルを仮定した上で理論 的に導くことができます。そして,その変動をあらわす確率分布の標準偏差を標準 誤差 (standard error)と呼んでいるわけです。 また, 標本誤差 = 標本で得られた視聴率 − 母集団における視聴率 の式 から分かるように,標本誤差と標本統計量(標本視聴率など)は,定数である母集 団値の分ずれているだけですから,両者の確率的な変動は同じ分布で表現できます (分布の横軸の目盛りが母集団値の大きさの分ずれるだけ)。したがって,標準誤 差はまた,標本統計量の確率的な変動の大きさをあらわすものでもあります。 :==============================================: : 南風原朝和 haebara (at) educhan.p.u-tokyo.ac.jp : : 〒113 東京都文京区本郷7-3-1 東京大学教育学部 : : TEL:03-5802-3350(直) FAX:03-3813-8807(共): :==============================================:
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