中田@岡山大学です。 GAUSS などを使って順序性をもつデータを使って対数線形モデルを応用する場合の方 法について補足説明をします。 XとYはどちらも3水準からなる順序性をもっている変数とすると contingency table は次のように書くことができます。 Y1 Y2 Y3 Y4 ------------------------ X1 | pi11 pi12 pi13 pi14 | X2 | pi21 pi22 pi23 pi24 | X3 | pi31 pi32 pi33 pi34 | X4 | pi41 pi42 pi43 pi44 ------------------------ 2変数の対数線形モデルを飽和モデルの形で表現すると log(mij)=MU+LAMDA(Xi)+LAMDA(Yj)+LAMDA(XYij) となります。ここでは X と Y の交互作用 XY の自由度は (I-1)(J-1) となりこの例 では9となっています。このモデルには cell count を説明するためのすべての効果 が含まれているので必ず適合します。そしてこの飽和モデルの次に簡単なモデルは X と Y の交互作用がない、X と Y の主効果のみを含んだ独立モデルで log(mij)=MU+LAMDA(Xi)+LAMDA(Yj) となりますが通常のモデルで独立モデルが適合することはあまりありません。そこで 得られたデータが順序性も持つ場合、最初の飽和モデルの最後の term である LAMDA (XYij) を順序性という特性を利用してより簡略で検定力の大きなものに変えるので す。そのモデルとは log(mij)=MU+LAMDA(Xi)+LAMDA(Yj)+BETA(UiVj) となり、ここで Ui と Vj とは row と column にそれぞれの順序性を得点化したも のです。ここでは交互作用の自由度は1となります。X1、X2、X3、X4について U の得点をそれぞれ 1, 2, 3, 4 そして Y1、Y2、Y3, Y4について V の得点をそれぞれ 1, 2, 3, 4 としてもよいのですが I+1 J+1 Ui=i - -----, Vj=j - ----- 2 2 の変換式を用いてそれぞれの平均値からのdeviationとして計算し、X1、X2、X3、 X4について U の得点をそれぞれ -1.5, -.5, .5, 1.5, そして Y1、Y2、Y3につ いて V の得点をそれぞれ -1.5, -.5, .5, 1.5 とすると下のように XY の table の 解釈がしやすくなります。 このモデルを GAUSS などを使って解析する場合、飽和モデルから得られる design m atrix のLAMDA(XY) のところを BETA に書き直してやればよいのです。解析の結果BE TA の推定値が が正の値、例えば1のときには Y1 Y2 Y3 Y4 -1.5 -.5 .5 1.5 ------------------------ X1 -1.5| 2.25 .75 -.75 -2.25 | X2 .5| .75 .25 -.25 -.75 | X3 .5| -.75 -.25 .25 .75 | X4 1.5|-2.25 -.75 .75 2.25 ------------------------ のようになりX と Y の間に正の関係が見られ、BETA が負の値のときにはX と Y の 間に正の関係が見られるという解釈になります。(注:対数線形モデルでの交互作用 の解釈はより低いレベル, ここでは主要因の効果に上乗せする形の効果という解釈と なります。) つまり、飽和モデルの design matrix が解釈できて交互作用のところをLAMDA(Yj)か らBETA(UiVj)として design matrix に書き直すたけでよいのです。
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