[fpr 829] グラフィカル多変量解析

Yutaka Kano

狩野@大阪大学です

堀さんのメイルに reply します.

>
>堀@香川大学経済学部です。
>
>狩野裕『AMOS,EQS,LISRELによるグラフィカル多変量解析−目で見る共分
>散構造分析』現代数学社 1997.10 実際は11月 2600円 235頁
>
>なかなかいい本で,niftyのsspssではすでに紹介しています。
>
>(ざっと)読んだあとさらに疑問がでてきたので,こちら のほうで質問し
>ます。
>>(1)p222にある「相関行列の分析」ですが,STATISTICAをもっているのでこ
>の件については気づいていたのですが,忘れていました。不正確な分析と
>いうのは深刻な問題なのでしょうか?ほかのソフトではやってしまってい
>るので気にしてなかったので忘れていました。


カイ2乗検定や適合度指標には影響を与えませんが,推定値の標準誤差には
影響します.したがって,LM検定,ワルド検定,そして,修正指標に影響
します.しかし,どの程度違うのかということに対する定説は未だ出来上っ
ていないと思います.STATISTICAのマニュアル(3522ページ
)に解析例(3因子検証的因子分析)があり以下のように報告されています
.

 因子負荷
 F1 F2 F3  正しいSE 間違ったSE
.91          .04       .10
.87          .04       .10
.82          .05       .10
   .68       .09       .12
   .34       .12       .13
   .66       .09       .12
   .67       .11       .13
      .19    .13       .13
      .92    .11       .14
      .65    .10       .13

標本相関行列を標本共分散行列と思って分析する間違った方法は,やや大き
い標準誤差を出力しています.

これらのSEは正規性に基づいて導出されたものです.正規性の仮定自身が
怪しいので,「間違ったSE」の罪はどの程度か難しいところです.しかし
, AMOS  EQS  LISREL などがサポートするようになると,「正しいSE」へ
移行していくと思います.


>
>(2)AICについては触れていませんが,モデル選択というのかモデル対決
>がないので入らなかったのでしょうか。モデル修正的にも使っているよう
>にも思うのですがどうでしょうか? それとも入門レベルではないのかな
>。
>

この点は豊田さんにも指摘されました.特別これという理由はありません.
あまりいくつもの統計量を紹介してもどうか,と思ったまでです.

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狩野  裕(かのゆたか) Phone&Fax: 06-879-8052 (DI)
  〒565 吹田市山田丘 1-2 大阪大学人間科学部
 kano (at) hus.osaka-u.ac.jp http://koko15.hus.osaka-u.ac.jp/~kano/   
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