石田@東北大です. Yoshimori Sugano 氏は 「[fpr 848] Question about ANOVA」において曰く: > の選択率しか得られないため、分散分析ができません。そこで、被験者間で > 選択率を計算せずに2値データそのものに対して分散分析を試みようとして > います。この方法は良くないように思うのですが、実際のところはどうなの > でしょう。 よくないですね.まずそもそも二値データは正規分布してないですよ.分散 分析が正規性の仮定に頑健だと言っても,さすが二値データは難しいんじゃな いでしょうか. > また、分散分析が適用できないとしたら、各実験要因の効果を調べるために > は、どのような分析法を用いればよいのでしょうか。 小牧順彌『データ分析法要説』(ナカニシヤ出版)の4章(pp46--52)に は,度数データを分散分析するという話が出ています.度数データは二項分布 に従うため,ある程度のデータ数があれば正規分布と見なせるというのがその 根拠のようです.この「ある程度のデータ数」は,各セル5以上が最低ライン で10以上あればほぼ大丈夫ということです. これにのっとるならば,従属変数を「何人の被験者がそのカテゴリーを選択 したか」という度数データにするということでよろしいのではないでしょう か. 被験者内要因とか言う形にはならず,単なる多元分散分析になってしまいま すが,仕方ありませんね.そもそも被験者間の変動をとれるような形で実験し ていないのですから. あるいは判別分析を使うという手もありますね.その五要因を独立変数にし て,それらから「どのカテゴリを選択したか」を予測するような形にするとい いのではないでしょうか.判別分析はよく知らないのでこれ以上は助言できま せんが. 証明しようとする仮説よってこのどちらの手法が適切か決まってくるので, 両方やってみて,結論を出しやすい方を採択するということでいいんじゃない でしょうかね. -- "This night wounds time" 東北大学 情報科学研究科 人間社会情報科学専攻 認知心理情報学講座 石田 翼 <tbs-i (at) cpsy.is.tohoku.ac.jp>, <GHE04441 (at) niftyserve.or.jp> HomePage: http://www.cpsy.is.tohoku.ac.jp/~tbs-i/ Key fingerprint = 74 59 19 BD 78 6B 82 17 E1 6B 26 35 CE 06 B2 94
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