南風原@東大教育心理です。 センター試験の「数学II・数学B」にこういう問題がありました(第5問)。 「円いテーブルのまわりに12個の席がある。そこに二人が座るとき,その 二人の間にある席の数のうち少ない方をXとして確率変数Xを定める。・・・」 この問題は,二つの席の選びかたがどれも等確率である,と仮定すれば解ける のですが,席取り行動の確率モデルとしては不適当とは思いませんか? 高校生が学習したのは等確率の場合だけでしょうから,試験問題としては特に 問題はないと思いますが,「現実の事象を確率的にとらえる」という教育目標 からすると良問とは思えません。大学のテスト理論の講義で,「5肢選択の問 題に正答する確率は?」という問いかけをしたとき,ためらいなく「五分の一」 と答えた学生がいましたが,等確率モデル学習の弊害かもしれません。もちろ ん正解は「受験者の能力や知識のレベルによる」です。 --- 南風原朝和(東京大学大学院教育学研究科)
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