[fpr 880] Sampo Debate

市川伸一



FPRの皆様:

市川@東大です。FPRの記事はいつも見せてもらっています
が,ここのところあまり発言はしていませんでした。実は,以
下のような討論をするのにFPRという場を使わせていただき
たく,私が第一声を書いています。簡単に言うと,信州大学の
守一雄さん(ペンネーム:森まりも氏)の「チビクロさんぽ」
(「ちびくろサンボ」の改作本」の発刊について,賛成・反対
の討論をしようということです。守さんからも,FPRで討論
することについては,望むところであるとの返事をいただいて
います。私のほうから,趣旨を説明します。

ここ2,3年,討論を実際に経験しながら,生産的な討論のあ
りかたを考えるという授業や実験演習をやっています。つまり,
「討論の心理学」を実践的にやろうというわけです。討論テー
マは,自分たちにとっても関心があり,考える意義のあるもの
を選ぶようにしています。今行っているのは,学部3年生が3
人,大学院生がアシストのために2人はいっている小グループ
の教育心理学実験演習の一貫です。はじめは,「小学校へのワ
ープロの導入の是非」というテーマでやりました。

2番目がこの「守氏のチビクロさんぽ発刊の是非」ということ
で,すでに内輪では1時間半ほどの討論を行い,そのビデオを
見直して検討することもやっています。資料として,当然なが
ら,発刊された本と,その付録として守さんが書いている「『
ちびくろ・さんぼ』の差別性をめぐって」という小冊子を読ん
でいます。テレビのニュースステーションで守さんが登場した
ときのビデオも全員で見ました。また,12月に北大路書房か
ら送られてきた「黒人差別を考える会と北大路書房とのやりと
り」も読んでいます。

さらに,この問題は心理学関係者にとっても関心があるだろう
し,当の守さんとも討論してみようということで,FPRとい
う場で電子討論をしてみようということになったしだいです。
もしFPRを使うのが不適当であるという意見があれば,お寄
せいだだければ再考します。今のところは,守さんも私も,F
PRで討論したいというのが希望です。

こちらのメンバーの中にも,発刊の賛成者と反対者とがいます。
私は,こちらの討論中は司会者を中立的にやっていましたが,
今後の電子討論には1メンバーとして参加しようと思います。
私は,基本的には「反対論」です。他の方たちも,ぜひ御意見
をお寄せください。

<データとしての利用>
あらためて,討論の趣旨をまとめますと,これ自体が心理学者
として論ずるに値するテーマであるとともに,私たちとしては,
電子討論のあり方を実践的に考える素材としたいということで
す。したがって,討論のログはすべてデータとして利用し,レ
ポートや学術論文に引用する可能性があることをあらかじめ御
了承ください。(引用される際,匿名を希望する方は,その旨
を申し出ていただければと思います。)

<討論そのものの出版の可能性>
なお,この討論自体を編集して出版するようなことも考えられ
ると思いますが,これは討論の内容いかんによるでしょうし,
出版社もやる前から出版を請け負うことはできないと思います。
参加者には,出版される可能性もあることを承知の上で発言し
ていただけると幸いですが,実際に出版というような話が起こ
れば,そのときにあらためて各投稿者(=著作権者)に転載の
了承を得るという手続きをとろうと思います。

<期限について>
あまりだらだらとやらずに,期限を区切ってひとまずは切り上
げることにしようかと思います。学生にも,年度内にレポート
を出してもらわなくてはなりません。とりあえず,「2月末日
まで」を一区切りとしたいと考えています。

では,次のメールで,この問題の経緯の概略と,意見を出して
いただくときのごく形式的なことを書きます。


      ****-- 東京大学教育学研究科  市川 伸一 ------****
    ****----  ichikawa (at) educhan.p.u-tokyo.ac.jp  ----****
  ****------  TEL & FAX 03-5802-8651 研究室直通 --****



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